錨を揚げて、その先に

@raiden_yuki

第0話:異常を異常と考えられないときにはもう遅かった

「私」は、海上自衛隊に9年間勤めていた。

入隊の動機は、ちょうどリーマンショックの最中で、大学に出てその先はあるのかと危惧していたからだ。

海上自衛隊というのを甘く見ていた、といえばそうかもしれない。

公務員という立場にも憧れがあったのかもしれない。

退職した後、「私」の中にあったのは、こんなクソみたいな組織、入るんじゃなかったという感情だ。

これから書いていくのは、そんな「私」の9年間の忘備録、というには少々大げさかもしれないものだ。

これを笑うならそれでもいい、だが、表に出てこないだけで、裏で泣いてる自衛官もたくさんいるし、そいつらを食い物にしているゴミクズのような自衛官もたくさんいる。現に、「私」がこの組織を去ろうと決意させた人物はまだこの組織にいるだろう。

「私」がこの組織を離れて結構な日が経つが、このゴミのような組織では、まだパワハラで組織が成り立っていないところもある、そんな話だ。


組織において、出来の悪いやつというのはどうしても出てくる。

だが、それに対して暴力が許され、あまつさえ周りも加担するのは到底許されるべきではない。

これが、異常を異常と考えられないというものだと思う。

それだけなら何とかなるかもしれない。犯罪行為をやらかしてなお、この組織にいられるという身内への甘さが、この組織最大の問題点だと思う。


「私」の同期だった奴に、飲酒運転で人の家に突っ込んでいったのが3人、真冬の夜中に、全裸でよそ様の家に不法侵入したバカが1人いる。

飲酒運転したうちの1人と、不法侵入したバカは未だにこの組織にいるのだが、所詮この程度の人材しかいない上に、それを昇任させざるを得ないというのが現実だ。

これが日本を守る海上自衛隊の現実である。


正直、世界的に見ても、自衛官というのは、低学歴の連中の集まりである。

今はもう少ないが、中卒で幹部をやっていたというのもたまに見かけたし、「私」の直属の上司も中卒だったことがある。

そんな連中は、定年が伸びるので悠々と過ごすのだろう。反吐が出る。


「私」がいた9年間という年月で、上司に潰され、メンタルをぶっ壊して辞めて行ったり、艦を降りて行った上司も部下もたくさん見てきた。自殺しかけた同期も1人いる。「私」も、艦をまたいで2回パワハラを受け、辞めた口だ。その上司に退職の意思があるといった時の「お前は裏切り者だ」という言葉を今でも覚えている。所詮そんなものか、ともう絶望もしなかったが。


「私」がこの組織にいた9年間という間違いの期間を、今後、海上自衛官を志す全ての人に捧ぐ。こんな組織で一生を振り回し、ボロボロにされる前に、よく考えてほしい。

願わくば、読んでくれた貴方に幸あれ。

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る