神様ReLIFE⑦
おそらく二時間程の間、エイトは病院を求め走り回っていた。
「僕、大丈夫!?」
たくさん走り回って呼吸が荒れているせいか、受け付けの女性が物凄く心配してくれた。 元々エイトは身体が弱く、運動なんてまともにしていない。
神様のおかげで身体は強くなったが、あくまでそれは天界でのこと。 地上へ降りれば、人並み程度の持久力しかない。 肩で呼吸をしながら、病院の時計を見る。
―――残り、10分・・・。
―――ここが駄目なら、もう間に合わない。
「あ、あの! 6歳で、エイミっていう女の子、ここにいます、か・・・?」
途切れ途切れになりながらも尋ねかける。 受け付けの女性は不審に見ていたが、切羽詰まった様子から何かを察してくれたようだった。
「えぇ、いますよ」
「ッ、それはどこの病室ですか!? 今すぐに教えてください!」
奇跡が舞い降りたのかと思った。 受け付けの女性から病室の番号を聞くと、最後の力を振り絞りその場所へと向かう。 別に、少女に会いに行かなくてはならないという決まりはない。
だけど会わなければいけない気がしたのだ。
教えられた病室まで辿り着くと、大きく一度深呼吸をする。 ノックをして、ドアを開けた。 そして目の前に飛び込んできたのは、ベッドの上で静かに読書をしている彼女の姿。
泉からから見た通りの光景だった。
「え・・・。 誰・・・?」
ずっと見ていた彼女が、目の前にいる現実。 その嬉しさにもろ手を挙げて喜びたい程だったのだが、それをグッと我慢し頭を下げた。
「初めまして! 僕、エイトって言います!」
「エイト・・・?」
「はい! ちなみに、歳は16です!」
「・・・あの、私に何か用ですか?」
そう言われると、エイトは彼女のもとへと近寄った。 そして彼女の手に自分の手を添える。
「おめでとうございます。 君は、神様に選ばれたんですよ! あ、いや、女の子だから、女神様っていうのが正解かな?」
時間も残り少ししかないが、伝えたかったことを伝えることができた。
「・・・? ごめんなさい。 私、神様なんて信じていないので」
「それでいいんです。 エイミは、それで」
「え、どうして、私の名前・・・」
時計を見ると、残り時間一分だった。 流石に、自分が消えるところを見られるのはマズい。
「ごめんなさい、僕はもう行かないと」
「え、待って」
「またどこかで会えるといいですね。 エイミ」
そう言って笑いかけると、早急に病室から立ち去った。 ドアを閉めた瞬間、ふっと身体が軽くなる。 天界へ戻る時間だと分かると、エイトは静かに目を閉じた。
―――よかった、会えて。
―――・・・よかった、間に合って。
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