神様ReLIFE
ゆーり。
神様ReLIFE①
ここは天界。 雲の上に、オアシスを移植したかのような光景。 そこで一人の青年が、泉を覗き込んでいた。
「・・・ト。 エイト。 おい、大丈夫か?」
「え? あぁ、アランか。 僕は大丈夫だよ」
エイトとアラン。 どちらも天界の住人で、背中には翼が生えている。
「また彼女を見てボーっとしているな」
「うん。 何度見ても飽きないんだ」
レモネの泉には下界が映る。 膨大な時間を持て余す天使にとって、時間を潰すことのできる人気スポット。 ただ真夜中ということもあり、現在は覗き込むエイトと声をかけるアランしかいない。
どうやらエイトはのめり込み過ぎていたようだ。
「彼女のこと、そんなに好きなのか?」
「好きとかそういうのじゃない」
映っているのは人間の少女。 それも、病衣を着て入院している少女だ。 虚ろに窓の外へ目を向けて、手に顎を乗せては小さく息をつく。 あまり良好な状態には見えなかった。
「どうしてそんなに気に入っているんだ? 確かにレモネの泉は面白いが、誰か固定された一人を見ているのはお前くらいだぞ」
「・・・どうしてだろうね? 考えたこともなかった。 ただ、自然と彼女に惹かれるんだよ」
「ふーん。 そんなに彼女のことが気になるなら、神様に頼んで地上へ降りてみたらどうだ?」
「・・・それ、本気で言ってる?」
天界人にとって、神様は絶対の存在。 ただ下界との交流は、あまり推奨されていないかった。
「もちろん。 本当に降りられるかどうかは分からないけど」
「何度も言うけど、僕は“神様に願いを叶える力がある”なんて信じていないんだ」
「本当にそれ、変わっているよな。 天使の俺たちからしたら、アランは相当な変わり者だぞ?」
「うん。 僕もそう思うよ」
自分は他の天使とは違う。 それは最初から分かっていたことだ。 アランと話をしていると、他の天使に呼ばれた。 どうやら仕事をしなくてはならない時間らしい。
「行こう、エイト」
エイトは頷き、アランの後ろに続いた。 仕事は絶対にサボってはいけないのが決まりだ。 レモネの泉に、後ろ髪を引かれながら歩く。
―――・・・僕は変わり者、か。
―――そりゃあそうだよね。
―――・・・だって僕、元は人間なんだもん。
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