第59話 罪人の日記 砂の魔人の笑い

「じゃあ 最初の日記のページから始めるね・・」


彼の名前はクリストファル・エセルファリス

出生はレーヴ達と同じ やはり同じ種族だった


なかなかの美丈夫 まだ34才の若さ


最初の日記には この惑星に着任して 大きな仕事・・惑星の大改造

最初に水の塔の三つを造った事・・惑星改造の仕事の数々


百個以上の人工のオアシス


来訪した民間の商人達との話し合い・・彼らにとても深く注意してる


取引の鉱物資源やレア・メタルを 暴利を貪り 安く買い叩かない事

住人達に決して危害を加えぬ事

規定を反した者 住人の娘達に乱暴した者達などを取り締まり

牢獄の惑星に送った事など


無法者の一団がこの惑星を襲う寸前で 惑星に浮かぶ小さな月の一つに

隠れていた彼らを捕らえた事など


・・・この惑星の赤い砂の風景に見せられて 

沢山の映像や写真を取ってる


グラデーションを描く白と金と赤の砂漠


水晶の丘


・・この惑星の砂漠の絵も描き・・他数の作品を作ってる


生憎・・絵は現存してないが 記録の映像が残されてる


本人はアマチュア画家であまり上手くないと言ってるが 

なかなか上手で素晴しい作品だった


ファリの先祖ファリアスに出逢い 友情が生まれ

どのように過ごしたかが 記録されていた


ファリの先祖達に自分達の言語や子守歌などを教えた事も


ファリの先祖達も 現地で判らない事や警戒心の強く偏屈な他部族に

天空人の彼や部下達が襲われたり 浚われそうになった時


すでに浚われた民間の商人達の救出も手伝ってる・・


あまり 普段は 重い責務もあり 感情を表に出さない人物だが 

彼は ファリの先祖に友人達 自分の家族の話となると

途端に 無邪気な子供の様に嬉しそうに話をしている


他にも多数の友達も多い・・部下にはかなり厳しかったようだ

とても家族想いで 

残してきた幼い息子との会話もやメールのやり取りも残ってる

妻に早く死なれ 両親が息子を育てる


この惑星の原住民の美しい娘ライアと恋に落ち 娘は彼の子を宿したが

生憎 事故で死んでしまった


ファリの先祖のファリアスがどんなに優しく慰めてくれたかと詳細に記録してる

先祖の幼い子も彼を慰めている


・・恋人のライアはファリの先祖ファリアスの従妹だった

映像が他数 残ってる


「母のニアヌによく似てる・・そっくりだ」ファリ


「ファリのお母さんって 本当に綺麗な人だっただね」レーヴ


「・・うん とても綺麗だ・・」


「この映像データ ファリの御父さんや僕の妻 ・・君の妹

お祖母様に見せたら喜びかな?


本当は規律に違反だけど・・欲しいファリ?」


「頼む レーヴ」嬉しそうな笑顔を見せるファリ


「了解 僕のPCからコピーするね・・小型艇だとバレる可能性があるから」


「悪いな・・」


「ふふん なんの 大事な親友で 僕の義理の兄のファリの為だもん

僕の愛する妻・・君の妹リリーシュや家族達の為にもね

さっきも怪獣じゃない・・猛獣から護ってもらったから」

互いに微笑み合う


そんな様子にホッとするレーヴ


見せて良かった・・一時どうなるかと・・

まさかファリのお母さんのそっくりの映像が見つかるなんて


本当に綺麗な人 女優とかモデルにもなれる

可哀そうにファリの言う通り 多分 間違いなく複数に乱暴されただろう・・


そして 最後は生贄に・・・彼らは非道な事を平気でやってた

 

人さらいも人身売買も当たり前だった 統一された政府なんてない 


無秩序でそれぞれの部族が 生きる為に必死だった 水の取り合いで戦いも多かった


・・僕らがファリに出会うまで・・・


ファリも沢山戦いとかで多く人を殺したと言っていた

まだ・・当時は僕と同じ 十代の子供だったのに


でも 日記は 今は和やかなムードで 惑星改造も順調な状態の日記だけど

この先には 絶望の未来の日記の話が待ってる

大喧嘩の話も・・・ふう


・・そして 穏やかで 個人的な事柄には楽しげだった日記は磁気嵐の予兆で

クリストファルが不安を覚え 更に連邦崩壊により 星間戦争が始まる


深い悲しみと嘆き・・・帰還命令が下るが すでに始まっていた磁気嵐

騒動でそれどころでない


・・・やがて 本格的に磁気嵐が始まり 更なる大騒動なった

必死に指揮をして 連邦の者達や民間の船の逃出をサポートする


惑星の民達を磁気嵐のせいで 嵐が多数起こり それらも救助する

気がつけば 逃れるつもりだったが 逃げ遅れ 機会を失う・・


もう二度と 息子にも両親にも 自分の故郷の惑星にも帰れない

友達にも逢えない 連絡すら取れない


嘆き 絶望

慰める ファリの先祖ファリアス・・彼の大事な友・・

慰め合う 彼と残った彼の部下達


長い時間の果て・・

クリストファルは連邦の一員として 

取り残された者達

望んで此処に留まった者達と

ファリの先祖達とともに 出来る限りの事を始める 水の塔の維持


人工オアシスは手入れも出来ずに 間もなく大嵐の為に全て消え去る

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