第50話 リリーシュとアリア

それから・・・

建物の影から 音が響いた


タライと洗濯物を抱えた 妹リリーシュの姿と祖母アリアの姿


タライを落として こちらを驚き見つめている


「お・・お兄ちゃん!」

そして 背中には赤ん坊の姿があった


「お兄ちゃん!」妹リリーシュは駆け寄り それから俺達は

涙を流して 互いに抱きしめあった


「会いたかった!会いたかったよおお!!ファリ兄さん」

妹は泣きながら俺に言う


「俺もだ! 俺も・・・リーシュ」

抱きしめあう俺達の傍で


そして

ピウスさんは 物憂げに祖母アリアを見ていた

祖母もまた 彼を見て 微笑んだ・・。


「皆 無事か!」


「父さん達や村の人達は皆 無事だよ レーヴのおかげ・・」


「西の塔の地下都市に避難した人たちは ほとんど無事だったけど

他の塔に避難した人達の行方は消息は不明なの 

ここからは どの地下都市からも離れて孤立してるから


他の塔は建造中もあって不明だけど 

多分 南の塔と・・東の塔の地下都市は無事だと思うわ。」


「 今 レーヴは?」


「・・・」妹リリーシュは口ごもる


2日前に 安全なドームに水路を使って 潜水服を身につけて出かけたまま

まだ 戻らないそうだった


村の者達と相談して 誰かが捜しに行くと相談中だったとの事


「・・・俺が行く」


「しかし」


「大丈夫だ 俺なら 機器の扱いにも

仮に緊急を要する事態だとしても この惑星の事も俺なら詳しい」

俺は 急ぎ そのドームへ向かうことにした


「エル! ピウスさん! 彼を必ず見つけ出してきますから」


俺はテキパキと水中に潜る準備をしながら言った


「頼む」

「信じてるわ ファリ」エルはそおっと 俺の頬にキスをした。

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