第47話:大都市じゃないのに

 信じられないくらい多くの奴隷希望者が集まってしまった。

 最悪4000人くらい集まるかもしれないと思っていたが、本当に4000人以上集まるとは正直思っていなかった。

 村長の話では、この国の主要都市でも1万人以上の人口がいるのは、15都市前後しかないそうだ。

 1000人以上の人間が住む都市でも120都市くらいしかないのだ。


 それなのにこの村は、元々の村民である氏子衆や元氏子衆を加えれば、5000人を超える人口になっている。

 もうこの村は主要15都市に準ずる人口になっているのだ。

 だだこの村には商店もなければ職人もいない。

 正直もうどうこの村を扱っていいのか全然分からない。

 今の俺が考えているのは全員を生きて冬を越させる事だけだった。


 初雪が降る頃には、何とか奴隷希望者全員を収容できるくらいの掘っ立て小屋が完成したが、まだまだ逃げてくる人間が増えてしまいそうだっだった。

 多数の掘っ立て小屋をここまで早く完成させることができたのは、大黒柱や支柱は森から切り出した大木を使ったが、他の部分は日本の森林組合から買った間伐材と、製材所さんから買った背板、ホームセンターで買った波板屋根材を使ったからだ。

 

 まず大前提に全部同じ12坪の掘っ立て小屋に統一した。

 切り出した材木にあわせていちいち設計するのは面倒だし、同じ掘っ立て小屋を大量に建てた方が、早く上手に建てられるようになる。

 12坪の掘っ立て小屋には、基本24人を収容する予定だった。


 敵の襲撃を警戒するために、24時間3交代制の勤務になるから、実際に常時小屋で寝ている人間は8人になる。

 同じ小屋を200軒建てれば最大で4800人も収容できる。

 3交代を考えて1坪に3人収容すれば、6800人まで大丈夫だ。

 

 1軒に20枚必要な、1枚1380円の9尺ガルバリウム波板屋根材を、4000枚買って276万円使った。

 1軒に30本必要な間伐材は、大量購入したので輸送費込みで4000円で済んでしまったので、80万円使ったに過ぎなかった。

 1軒に200本必要な背板は、4万本と量が多かったので日本にいる日数が長くなってしまったが、その分安く200本3000円で買えたので、60万円ですんだ。

 結局合計416万円を使うだけで何とかなった。


 残高が2億3775億円になるはずなのだが、石姫皇女がネット通販で美味しいモノを買うことを覚えてしまって、120万円も使っていた。

 日本各地のブランド牛を買って食べ比べを始めてしまった時は、背筋が凍りそうになってしまったが、通販で売られているブランド牛なら、完全予約制の生産制限品よりは安いので、何とか120万円ですんでいた。

  • Twitterで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る