6.無血のヒーロー サイコブラック 聖竜の介さん作
【追記】
登場人物について確認ミス、展開を勘違いをさせてしまうような状態での批評を書いていたので、修正・削除いたしました。
まとめている時に間違えていたままだったのが原因となります。
レビュー作筆者の方、並びに閲覧者の皆様に深くお詫び申し上げます。
【追記終了】
「今回は特撮ものだぞー、拓也」
新しい朝が来た。希望とは程遠い朝が。しかし今日も今日とてレビュー再開のため、啓馬は朝早くから拓也の家へとやって来ていた。しかし内容を聞いた拓也はどことなく渋い表情だ。
「全然特撮知らねぇ」
「えー? 休みの朝とか見てなかったのか?」
「日曜の朝とかゲーム日和だし、土曜に遊び倒して昼間まで寝てるとかざらだったぞ」
「さすが不健康児だな」
「親戚の兄貴が滅茶苦茶好きだったんだけどな、ライダーとかロボとか」
「まぁ今回、そういうのじゃなくて非合法ギリギリを攻める話らしいけど」
「普段の戦隊ものなんて非合法じゃないか。銃刀法違反とか」
「はいはい、そういう話し出すとキリがないから止めような。じゃあ俺、漫画の続き読んでるから」
「俺の漫画じゃねぇか」
そう言いながらも拓也は止めない。今に始まった事じゃないからだ。仕方がないので、朝の寒さに耐えられるような熱いコーヒーを片手にスマホをタップしていった。
今回読むのは聖竜の介さん作、『無血のヒーロー サイコブラック』だ。
「で、感想は?」
漫画を読んでいた啓馬は拓也がスマホを置いて一段落付いた様子を見計らい、そう訊いた。しかし質問に対して、向けられた顔は中々晴れない。
「んー……」
拓也はスマホを置くと難しい顔をして、腕を組んだり、皺の出来た眉間を揉んだりしている。
「今回はちょっと短くまとめさせて貰っていいか?」
「えぇ?」
「いや、要点だけ書いた方がいいなと思うんだ。変な事を言わずに済む」
そう言って拓也は1枚のメモ用紙を取り出して、書き始めた。啓馬が覗き込んで、思いっきり眉を寄せた。
「字ぃきったな」
「うるせぇ!!」
【気になった点】
・句点で一行ずつ区切ってるせいで縦にかなり長い文体が気になりました。隙間が目立つため文体は詰めて書いて、心証描写などは空間を開けて行った方がぐっと見やすいと思います。(※個人論ではありますが)描写がしっかりしてるだけにもったいないと感じました。
例を書くなら、
【例文】(※個人の書き方です。)
上下するはずの胸が動かない……アンナのそんな様子を見てカルロスは思わず、目を見開き息を呑んだ。額に、頬に、背中に、嫌な汗が流れる。
――彼女が息をしていない!
抱き起した細い体は既に冷たく、思わず「あぁ……」と落胆の声がカルロスの口から震える息と共に零れる。それと同時に、後悔の涙が既に薔薇のように赤みを差していた彼女の頬へと落ちては地面へ、着ていた服へと流れていく。
【例文終わり】
↑WEB小説の場合はこんな感じの文章が見やすいのかなと。個人的にはですが。(※商業本の書き方は詰めたものが多いとは思いますので、あくまでWEB上での話です)
・3人で猫に離れるよう願うシーンや店長の人が最初にナイフ男に「客ではない」と判断するシーンなど、視点の切り替わりもあり、作中において店長の思惑は掴みどころが難しい気がしました。サスペンス要素的な面白みはありますが、感情移入等は少しし難く、2話の中心である店長がアドリブでの機転を含めて万能すぎる気がします。
・作中では最初に店長や受付の子もナイフ男の事は危険人物として扱っていたせいなのも大きいかもしれませんが、2人目の客(組の人間)が入った時、そして追い払う時に店長が「最初の客=ナイフ男=味方(主人公かどうか、2話終了の段階では不明なため、元の小説にある情報を元にしてこういう書き方をしています。)」という判断をいきなりしたように見えて「そう判断した基準はどこなんだろう?」と感じる部分が多いです。
・伏線的に仄めかす要素自体はあったかもしれませんが(ラストの店長の締めなど)自分は付いていけず、2話の最後まで読んだ後も序盤ラストの幕引きで「えっ、こいつ味方だったのか!」という、締めの部分での「どんでん返し」の爽快感や勢いなどは薄く、あまりスッキリとした終わりのようには感じませんでした。(長期の作品的に、引きのためそういう傾向があるのも分かりますので個人の感想です。)
・上記の事に関しては今回の批評は上限が10000字以内なので今後の内容次第になるかもしれませんが、個人的な好みとして「なぜナイフ男を味方と分かったのか」が判断できるような内容が欲しかった気がします。心理的な描写を映していたそれまでの流れとはミスマッチしているように思えました。
【良い点】
・非合法ギリギリの手段で攻める主人公という発想は良いと思います。合法ではありますけど……ん?と最初は思う点もあるかもしれません。ただそこは店長のアドリブで「あぁ、アドリブだったの!?」という驚きをありました。
・いきなり強盗めいた話からスタートでインパクトは十分。不審者からスタートする主人公は結構珍しいですね。少なくとも自分はあまり見ないです。(しかも最初のラストまで出ている情報だけでは不審者な状態ですから)そこは意表を突いてるなと。
・文体だけでも直すとすらすら読めそうなほど、描写の内容は良いと感じました。少しテンポや背景描写がくどくなり過ぎないかも注意すると、より良いかもしれません。
・相手はなんでもあり気味なのに対し、主人公は最初にコスチュームこそ着れど「普通の人」のようなので(2話終了の時点では主人公の立場等は判断が出来ませんでしたので、あえてあやふやな書き方で失礼します。)「無血」というタイトルもあり無法者(相手はギリギリ法は守っていますが)に対し、これからの展開が気になる引きだとは思います。
【総評】
気になった点での批評が目立ちそうですが、個人的には『惜しい』と思う点が沢山あります。辛口気味なレビューにはなりましたが、発想や機転の出し方含めて斜め上を狙っていくのは良いと感じました。この感想が上手く書けているかは分かりませんが、どうかこれからも頑張ってください。
静井 拓也
「こんな感じかな……」
メモを書き終えた拓也は啓馬に渡した。啓馬はメモを見ると何やら顎を擦っては考え込むように、僅かに唸った。
「結構辛口だな」
「傷つけたい訳でも誹謗中傷したい訳でもないんだけど、思ったまま書かないとしょうがないしなぁ……申し訳ないが」
「まぁ、打ちこんどくよ」
啓馬はスマホに文章を打ち込み始めた。何度もメモをチェックし、最後に何度もスマホの上から下へ、視線を行ったり来たりさせる。そしてタップしたかと思えば、スマホを仕舞った。
しかし表情は冴えない。
「場面転換とか伏線とか難しいよなぁ」
不意にそう言った言葉に拓也も「まぁなぁ」と少々疲れたような答えを返す。
「伏線も張った後で回収が遅かったりすると忘れられたりするし、作者の脳内だけにあっても読者には伝わらないから『見せない』っていうのは結構リスキーだしな……『何それ?』って反応に繋がっちまう」
「でも同じ場面ばっかだと飽きるよな?」
「だから伏線敷くなら一気に違う話……例えば別人視点からスタートしても良いと思うぞ。ただ注意点としてテンポが生贄になるから、やるならがっつりやるか短く切って置くか……そして短期間で何回もやるとグダグダになるし『またかよ』って思われかねない」
「便利だけど、やり過ぎ御法度ってやつだな」
「長編作品の応募もあったから何個か見たけど、長編になるほど区切る部分が難しいよな、俺も出来てる気がしない」
そこまで言って拓也は頭を抱えながら後ろへと倒れた。クッションが凹む音を立てる。啓馬は机の上にあった菓子袋に手を伸ばした。袋の擦れる音がしばらくガサガサと鳴っている。
「人に見せる前提なのか、商業前提なのか、単純に読んで貰いたいだけなのか、そういうのでもだいぶ変わるだろ?」
「まぁ確かに」
「楽しむだけなら文字の見せ方も気にしなくて良いんだろうけど、俺はどうしても気になる……うーん、この性格が損だと思うんだよな、潔癖くさくて」
「考えすぎな部分はあるよなぁ」
啓馬がおかしいと言わんばかりに笑っていた。明らかな揶揄に拓也は顔をしかめた。
「考えすぎて……」
「人間、案外つまらないも面白いもノリな部分あるんだから、楽しんだもん勝ちだと思うぞ?」
「……そう楽観的になれたらいいんだけどなぁ」
拓也は起き上がって、袋の広げられた塩辛い菓子を一つ口に含んだ。
「何が面白いかって考えると堂々巡りになってさ」
「まぁなんだ、甘いだけでも辛いだけでも人は飽きるってこった。大半の読者は無名に近い作者の名前なんか見ないんだから。お前の作品が悪いか良いかなんて今は気にしたってしょうがないんじゃないのか?」
「うーーーん……どこからくるんだお前のそのポジティブ思考というか、投げ槍思考というか」
「考えすぎなんだっての。その脳みそで考えるべき事は、そろそろ炬燵出した方がいいって事くらいだ。今回の作者さんみたく、好きな物を楽しんで書いてる人を少しは見習え」
「そう性格は一朝一夕で変わる話でもないんだよなぁ……」
付けっ放しのテレビからどこかの地域で初雪が降ったというニュースが流れ始めていた。
【追記 12月7日】
「拓也、確認ミスがあったぞ」
「本当に申し訳ございません。推測等を減らした上で()内での補足説明等も増やしています」
「辛口気味なレビューやっといて、これは痛い奴過ぎる。何間違えたんだよ」
「具体的に言うと作中において登場人物の設定確認ミスです。それと展開において、作中で解釈を間違えた部分もありました。正直、一回目を読んでそう思っていたせいか再度確認しても気が付かず、結局のところ確認ミスでそのまま書いてしまいました」
「すみません。解釈ミスについては俺ら――もとい作者は頭が回らないので、難しい展開や裏を読む展開なんかはこういう事やらかすかもしれません。確認はしますけど、それでも読んで気が付かないなら思った事をそのまま書きます」
「ですが誹謗中傷のつもりもないし、感想を書く時点で思った事をそのまま書くとは書いていたので……だから結論自体はそんなに変えてないです。修正後も辛口気味で申し訳ないんですが、再三書いた通り、作品の誹謗中傷的な意図はありません」
「ただ今後のレビューとか、他で説得力が無くなるのは十分承知の上で、今後はこの反省を生かしていきたいと考えています」
「再度申し上げますが、作者様、並び閲覧者の皆さま、本当に申し訳ございませんでした」
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます