約束の地で
勝利だギューちゃん
第1話
「元気でね」
小さいころに、よく遊んだ女の子。
隣に住んでいた。
赤いチューリップハットを、いつもかぶっていた。
しかし、小学校入学直前に、引っ越しをした。
海外へ・・・
両親が他界し、唯一の肉親である、祖父母が暮らすハワイへと、引っ越した。
「大人になったら、必ず会いに行くね」
「うん。待ってる」
でも、「去る者は日々に疎し」。
いつしか、彼女のことは、忘れて行ってしまった。
でも、忘れきることができなかったのは、アルバムのおかげか・・・
俺の両親や彼女の両親はマメで、よく写真を撮り、細かにメモをしていた。
おかげで、彼女の事は、覚えていた。
写真の中でも、彼女は赤いチューリップハットをかぶり、でないにしろ、手に持っていた。
印象深い。
もし、アルバムがなければ、忘れていただろう・・・
そして、月日は流れて、俺はハワイへと旅行することになる。
両親の定年祝いにプレゼントしたのだが、母が都合で行けなくなり、代わりに俺が行くことになった。
飛行機の中で、親父に声をかけられる。
「なあ淳一、あの子の事、覚えているか?」
「あの子って?」
「幼稚園の頃、よく遊んでいた・・・」
「ああ。チューリップハットの?」
「そう・・・さくらちゃんだ」
そういや、アルバムにも、さくらと書いてあったな。
今更ながらに、思い出した。
そして、ハワイにつく。
さすが常夏。
暑い。
女の子がレイをかけて、乗客にキスをしている。
まだあったんだな。
この風習・・・
そして、俺の番となり、女の子がレイをかけた。
そして・・・キスをした後、耳元でささやいた。
「約束通り来てくれたんだね。ありがとう・・・淳くん」
約束の地で 勝利だギューちゃん @tetsumusuhaarisu
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