4-17(日)See You again デース
「ちょっ! ちょっとぉっ! リンダぁっ!!」
「次に会う時までに出来ないデース! 今その分もやっておくデース!!」
昨日は一緒に仲良く寝たと言うのに朝方リンダに襲われた。
しかも最後だからとか言って完全に脱がされそれはそれは気持ちいいほど‥‥‥
じゃ、じゃなくて! ものすごく効果が出そうな位に揉みまくられた。
最後の方なんか「由紀恵可愛いデース‥‥‥」なんて言われて胸にキスされてもっとやばい状況になりそうだったけど流石にこれ以上はと言う事で最後の意思を振り絞って逃げ出した。
全くリンダの奴‥‥‥
* * * * *
「さて、忘れ物は無いかな?」
「大丈夫デース! ダディーさん、マミーさん短い間でしたけどお世話になりましたデース!」
リンダはそう言って玄関先でお父さんとお母さんに向かって頭を下げた。
「リンダちゃん、あっちに戻っても元気でね~。あ~本当、娘が二人に増えたようで楽しかったわ」
「リンダちゃんがいると家が明るくなったからね」
お母さんもお父さんも笑ってはいるけどちょっと寂しそうだった。
「さてと、リンダちゃん荷物を車に乗せるね」
お兄ちゃんがそう言ってリンダのボストンバックを持つ。
そして見送りの私とお兄ちゃん、運転手のお父さんの車で駅にまで行くのだった。
* * *
「ここ紫乃といつも一緒になるところデース! あ、あの駄菓子屋さん由紀恵と一緒に行ったデース!」
「そう言えばリンダって駄菓子にはまってたわね?」
「ちゃんとうんまい棒とかお土産に買ったデース!」
車の窓から見える今まで学校に通った風景やリンダと散歩した風景がどんどん流れていく。
たった一ヵ月だったけどリンダのいたこの間はまるで一年以上一緒にいたような気にさえなる。
そんな通りを車で走り去りながらもうじき駅に着く。
お父さんは車を駐車場に止めてお兄ちゃんがトランクからリンダの荷物を降ろす。
そしてみんなで駅に入って行く。
「改札口まで見送ろう」
お父さんがそう言うとリンダはお父さんに抱き着いて頬にキスする。
「ダディーさん、本当にありがとデース! ダディーさんがホームステイさせてくれたから私とっても楽しかったデース!」
「ははは、ありがとうね、リンダちゃん」
「お父さん! 不倫は許しません!! リンダも妻子持ちの中年を惑わさない!!」
「いや、父さん不倫してるわけじゃないだろうに‥‥‥」
鼻の下伸ばして喜んでいるお父さんに何故かムカッと来て私はそう言うけど冷静なお兄ちゃんはしっかりとつっこっみを入れてくる。
「由紀恵、やきもちデースか?」
「そんなんじゃないわよ、全くリンダは‥‥‥」
ちゅっ!
私がそう言いかけた時リンダは私の唇を唇で塞ぐ。
「リ、リンダぁっ!!!!」
「親愛なる由紀恵に最大限の挨拶デース! 友也もデース!!」
そう言ってリンダはさっと今度はお兄ちゃんの唇に軽く唇を重ねる!?
ちゅっ!
「なっ!? リンダぁっ!!」
慌てる私、あまりの事に固まるお兄ちゃん。
「うわっ、ちょっと、リンダちゃん!?」
「ほう、友也も隅におけないな?」
いやいやいや、そうじゃないでしょうにお父さん!!
こ、こんな白昼堂々と人の往来する場所でなんて事を!?
「へへへへっ、楽しかったデース!」
そう言ってリンダはボストンバックを持って改札口をするりとくぐって行く。
昨日電車のチケットは買っておいたからその動作はあっという間だった。
改札をくぐってあちらに行ったリンダはこちらをふり返る。
そして元気に手を振りながら言う。
「由紀恵約束デース! きっとオーストラリア来るデース!! ワタシずっと待ってるデース!!」
「リンダっ!」
ぶんぶんと手を振っているリンダだったけどふいにクルっと後ろを振り向いて歩いて行く。
振り返る瞬間光るものが見えたのは気のせいじゃないだろう。
「リンダっ! 必ず行くからね!!」
するとリンダは振り返らず片手を上げてこう言った。
「See You again デース!」
手を振りながら見えなくなるまで私たちはリンダを見送った。
「“さよなら”じゃなくて“またね”か。由紀恵に聞いた話、俺も頑張ってバイトでもしてお金貯めなきゃな」
「お兄ちゃんはその前にちゃんと大学に受かってもらわなきゃだめだよ! そして行こう、リンダのいるオーストラリアに!」
お兄ちゃんの差し出すハンカチを受け取りながら私もそう言う。
まったく、最後の最後まで大騒ぎにしてくれるんだから、リンダは!
でも約束だよ。
必ず私たちもオーストラリアに行く。
またリンダに会うために。
―― リンダ・りんだ・LINDA!~ 私はお兄ちゃんをそんな子に育てた覚えはないよ!?アフターストーリー ~ ――
~ 完 ~
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