4-16(土)由紀恵、一緒に寝るデース!!
「由紀恵、一緒に寝てもいいデースか?」
日本での最後の晩御飯を食べお風呂に入り荷物もまとめたリンダは最後の夜を私と一緒に過ごしたいと言って来た。
「変な事しないならいいわよ?」
「しないデース」
「ん、じゃぁ一緒に寝よか?」
そう言ってパジャマ姿のリンダは枕を抱えて私の部屋に入って来た。
明日は駅まで見送ることになっている。
私は空港まで見送りをしたいと言ったらリンダは駅で十分だと言って来た。
その時の笑顔はちょっと寂しそうだったけどもしかしたら空港まで送っちゃうと気持ちが揺らぐのかもしれないのかな?
「お邪魔するデース」
「うん、どうぞ」
私はそう言ってリンダをベッドに呼び寄せる。
そして電気を消して二人並んで天井を見ながら眠る。
「‥‥‥」
「‥‥‥いよいよオーストラリアに帰っちゃうね?」
しばし無言だった私たちだけど流石にすぐには眠れない。
私は沈黙に耐えられず自分からリンダに話しかける。
「全くリンダには最初から最後まで引っ掻き回されたわよ? でもどうだった日本は?」
「とてもよかったデース。そして由紀恵や友也に会えて本当に良かったデース。ワタシ兄妹いないデース。ダディーもマミィーもとてもやさしいデース本当はもっとここにいたかったデース」
リンダはそう静かに言う。
そして布団を口元まで持ち上げてから言う。
「ワタシ小さな頃からJAPANにあこがれてましたデース。漫画やアニメの様に学校生活楽しかったデース。パースとも街が違って楽しかったデース。コスプレも出来たし聖地アキハバラにも行けたデース。とても、とっても嬉しかったデース」
「そっか、リンダはやりたい事、見たい事が出来たんだ。良かったね」
「でもデース‥‥‥」
リンダはそう言って私に振り向く。
「もっと素敵なものが出来たデース。由紀恵や友也たち日本でのファミリー出来たデース!」
そう言ってリンダは抱き着いて来た。
まさか、また胸のマッサージでもする気!?
一瞬驚きと身構えをした私だったけどリンダは私に抱き着きながら泣き出した。
「知らなかったデース! こんな気持ちになるなんてデース! 由紀恵が好き、友也も好きデース! ずっとずっと一緒にいたいデース!!」
「リンダ、あんた‥‥‥」
私は仕方なくリンダの金髪にやさしく手を置く。
そしてリンダが泣き止むまで優しく撫でてあげる。
「向こうに行ったってSNSやメールで連絡取れるじゃない? それにテレビ電話だってあるし。そうだ、今度は私がオーストラリアに行くよ! すぐには無理だけどアルバイトとかしてお金貯めていつかきっとリンダに会いに行くよ!!」
「本当デースか?」
「うん、約束する。そうだ、お兄ちゃんも一緒に行くってのどう?」
「大賛成デース! パース来たらワタシが二人を大歓迎するデース!! そして向こうでワタシの街紹介するデース!!」
リンダは思わず半身起き上がり私に覆いかぶさるように興奮してそう言う。
「はははっ、楽しみにしてるわよ。コアラも見てみたいし、カンガルーが街中を闊歩してるってのも見てみたいしね」
「約束デース!」
そう言ってリンダは小指を立てて指切りげんまんの準備をする。
「全く、何処でこんなこと覚えたのか‥‥‥ いつかきっとまた」
「絶対に会いに来るデース! 嘘ついたら針千本デース!!」
私とリンダは指切りげんまんしてまた二人並んで横になる。
そしてこの一ヵ月の事を思い出しながら話、何時の間にやら二人とも夢の世界へと行っていた。
二人仲良く手をつなぎながら。
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます