3-10(金)学園祭始まりデース


 「やるデース!!」


 「いや、何言ってるのか分からないわよっ! って、ちょっとだめっ! そこ弱いんだからぁっ! んぁっ! ら、らめぇぇええええぇぇぇぇぇっ!!」



 昨日は何だかんだ言ってギリギリまで学園祭のクラスの出し物で準備して疲れてた為に今朝のリンダ襲撃を完全に忘れていた。


 そんな隙を見せた私にリンダは朝から元気にいつの間にか私のベッドに潜り込み恒例の豊胸マッサージを直にしてくる。


 あまりに上手‥‥‥

 じゃなくて、効果ありそうな手つきのお陰で最近はやたらと感度が増して来て体中びくびくとなってしまう。



 「はぁぁあああぁぁぁぁぁーんッ♡」



 びくびくと痙攣する私にリンダはさわやかにやり遂げたような笑顔で額の汗をぬぐう。


 「絶好調デース! これで友也も私の物デース!!」


 そう言って私の部屋を出て行くリンダだったのだ。



 * * *



 「うぅ~、朝から疲れたぁ~」


 「あれ由紀恵ちゃん今朝もリンダちゃんにされちゃったの~?」


 「ご馳走さまデース!」



 おいこらご馳走さまじゃないだろうに!

 何朝から体力使うような事させるのよ!?


 

 思わずリンダを睨んでもまったく気にした様子は無い。



 今日はいよいよ文化祭の開催日。

 金曜、土曜、日曜日の三日間の予定で行われる。


 初日は学園内の人だけで土、日が一般開放となる。

 なので今日は学生や教員によるお試しみたいなものらしい。



 「リンダ、今日は風紀委員や先生たちも廻って来るから変な事しないでよね?」


 「OH-! 由紀恵、私いつも真剣デース!!」



 何処がっ!? と突っ込みを入れたくなるけど今朝はそこまで元気がない。

 がっくりとしながら私は見えて来た飾りつけの終わった校門を見るのだった。

 


 * * * * *



 『それでは第45回若葉祭を始めます!』



 全校集会で体育館に一度集まった生徒たちは生徒会と学園祭実行委員会の開幕宣言でバラバラに自分たちの教室に戻りいよいよ学園祭を始める事となった。




 「さあ皆さん始めますよ! ご主人様とお嬢様をお迎えしますよ!!」



 佐々木さんが既に着替えやる気満々でクラスのみんなに宣言する。

 ローテーションの予定通りみんなも着替え役割担当を始める。



 「さあ、友也どこからでもかかってくるデース!」


 「いや、お兄ちゃんたちがすぐに来る事無いから」


 「そうだねぇ~でも由紀恵ちゃんもリンダちゃんも似合っているよ~。特に由紀恵ちゃんのネコミミと尻尾可愛いよぉ~」



 ぐっ!



 何故かクラス全員一致で私だけネコミミと尻尾をつける事となった。

 中には語尾は「にゃん」をつけてくれぇ~とか血の涙を流す男子もいたけど流石にそれは断った。



 こんな恥ずかしい格好させられているのにこれ以上恥の上塗りはごめんよ!!



 「これデース! 超レアな由紀恵の猫言葉デース!!」


 リンダは私がそう思っている横でスマホのアプリで編集した私の恥ずかしい格好で「にゃんにゃん」歌っている動画をみんなに見せている。



 「リ、リンダぁっ! 何時の間に!?」



 「あら、長澤さんこれ可愛いわよ?」

 

 「そうそう、既にいいねが万単位で増えているわよ?」


 「あー、本当だぁ! 凄い勢いで伸びてる! うらやましぃ!」



 「って、リンダ何時の間にそんな動画サイトにあげてんのよ!?」


 「可愛いは正義なのデース!!」



 何てこと!?

 プライバシーの侵害だわ!!



 私は思わず自分のスマホでもそれを確認する。

 すると学校の飾り付けられた校門からうちの教室のメイドカフェまで映ってから私のにゃんこ言葉の歌が始まりその下に「お持ちしておりますにゃん♡、 ご主人しゃまぁにゃんっ!!」とかプロット打たれている!?



 と、いきなり入り口の辺が騒がしくなってきた!?



 「長澤さん、手伝ってください! ご主人様とお嬢様が大量に来られました!」


 「へっ?」


 見れば生徒と先生たちが列をなしてうちのメイド喫茶に並んでいるぅ!?



 「おー、いたいた。看板猫娘だ! 可愛いねぇ~」

 

 「きゃーっ! おもちかえりしたぁ~いっ!」


 「ご、語尾はちゃんと猫語なのかな!?」


 「長澤~宣伝も良いがあれはなぁ~。まあ可愛いから先生許しちゃうけどな!」



 私はぎギギギっとリンダを振り返る。

 するとリンダは親指を立ててサムズアップしている。


 「宣伝効果抜群デース! さあこれで友也も来るデース!!」


 「長澤さん、ご指名入りました!」



 「ご指名って何っ!?」




 大量のお客さんに私は悲鳴を上げながら佐々木さんに首根っこ掴まれて連れ去られるのだった。 



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