3-2(土)お医者さんでも草津の湯でも治らないデース
かぽーん
「ふわぁぁああああぁぁぁぁぁぁ~」
「OH~! これは気持ちいいデ~ス!」
私とリンダは大浴場で湯船につかっている。
ここに来る前にリンダに「大浴場に行く」と言ったらお約束通り思い切り勘違いして騒ぎになったのは言うまでもない。
「大浴場」を「大欲情」と受け取る外人っていったい何っ!?
盛大なあたしの突込みと脱衣所で帯を持って「あ~れ~ぇ~っ!」してからお風呂に入る。
しかしいざこのお湯につかってみればそんな事どうでもよくなってしまうほどだ。
「ふあぁぁぁぁ~、ほんと良いお湯ねぇ~」
「なんかじんわりと染み込んでくるようデ~ス」
初夏のこの時期だというのに温かいお湯がもの凄く気持ちいい。
いや、温泉は何時入ったって気持ちいいのだ。
肩まで浸かって手足を伸ばしそして目を閉じる。
風のせせらぎが気持ちいい。
あ、ちなみにもう露天風呂に移動してます。
私が心行くまで温泉を堪能しているとリンダがそばまでやって来た。
「由紀恵、見るデース! お肌がすべすべになっているデース!」
そう言って二の腕を見せながらさする。
私はそれを見て同じようにやってみるとなるほど、お肌を触った感じがつるつるになっている。
「これってお肌がお湯で溶けたからかな?」
「OH-! 溶けるデースか!? 危険デース!!」
そう言って立ち上がろうとするけど私は温泉の効能が書かれたボードを指さしリンダに言う。
「大丈夫よ、あそこに英語の説明書もあるでしょ? 溶けると言っても命に問題があるレベルじゃないから」
立ち上がりそうになったリンダは私に言われてその場でとどまりそのボードを見る。
「ふむふむデース。なるほど! そう言う事デースね!!」
ぶるんっ!
中腰だったのでふり返ってあたしにそう言うリンダの凶器が揺れる。
ぐっ、うらやましい。
こいつ見た目がまだ幼さ残っていて可愛らしくて金髪碧眼で身長もあたしと同じくらいで百六十有るか無いか。
そしてあの胸!
一体神様はこいつにどれだけ肩入れしているのよ!!
思わず私はそのぶるんぶるんしている物を鷲掴みにする。
「あんっ! 由紀恵こんな所で大胆デース! するならベッドでお願いデース/////」
「いや、これ以上何もしないから! と言うか、こんな凶器温泉で溶けてしまえばいいのに!!」
確かにやわらかくて大きくて女の私でも触っていても気持ちいい。
そしてうらやましくて思わずもぎ取りたくなる。
くそうぅ~、せめて私もこいつの三分の一で良いから欲しい所だ。
ばしゃばしゃっ!
どうやら他のお客が入ってきたようだ。
この露天風呂広いから入ってくるまで気付かなかった。
「ふぅぅ~ぅうう、いいお湯だなぁ~」
「へっ?」
どこかで聞いた事のある声‥‥‥
私とリンダが声のした方に目を向けると湯煙の向こうに髪の短い人がいる?
さらにそれを凝視すると‥‥‥
「お、お兄ちゃんっ!?」
「へっ?」
「OH-! やっぱりJAPAN兄妹で混浴するデース! 禁断の恋デース! お医者様でも草津の湯でも治らないデース!」
何処で覚えたそんな言葉!?
いや、今はそうじゃ無い、なんでお兄ちゃんが女湯に入っているのよ!?
「あわわわぁ、お、落ち着け由紀恵、見てないぞ、まだ見てないからなっ!」
「でも友也私の裸はガン見デース!」
はっとなってリンダを見ると中腰で私にまだ胸を揉まれている状態。
お兄ちゃんは真赤になり慌てて後ろを向く。
「いやこれは違うの! と言うか、何で混浴になっているのよ!?」
「裸の付き合いデース!」
「と、とにかく俺出るから! ごめんっ!」
ざばぁっ!
慌てて立ち上がるお兄ちゃん。
いや待って、このポジションは!?
既にお兄ちゃんのお尻が丸見えなのに露天風呂から出ようとして振り向く。
勿論マナーで温泉にタオルなど入れていない真面目なお兄ちゃん!
そして私の目の前にお兄ちゃんの象さんがぁッ!!
「ぶはっ!」
「OH-! 友也でなく由紀恵が鼻血デース! エマージェンシーデース!!」
「えっ! 由紀恵大丈夫か!?」
ぶるんっ!
「OH-! 友也私まだ心の準備できてないデース!」
どんっ!
私を助けに来ようとしていたお兄ちゃんをリンダが突き飛ばす。
「ぐはっ!」
ばしゃーんっ!
ごつんっ!!
変な音がした。
私はのぼせたのだろう、乙女にあるまじき鼻血を垂らしながらお兄ちゃんを見るとぷか~っと湯船に浮いている。
「お兄ちゃんっ!!」
慌ててリンダと共にお兄ちゃんを引き上げるけどやっぱり象さんがフリーダム!!
「ぶっ!」
「OH-! 由紀恵がまたまたエマージェンシーデースっ!!」
こうしてしばらく大浴場で大騒ぎをする私たちだったのだ。
後で知ったのだけど、私たちの入った大浴場の露天風呂は混浴になっていて別の大浴場は露天風呂がちゃんと別々になっていたらしい。
リンダが紙に「大欲情」と書いてのれんに貼っていたスマホの写真を見た時は有無を言わさず消去させた私だったのだ。
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