1-7(火)体育はブルマデース!


 昨日は結局みんなからの質問攻めで下校時間まで大騒ぎだった。

 勿論高橋静恵も矢島紗江もあの後巻き込まれお兄ちゃんの部活見学に行ったリンダがその場でお兄ちゃんの応援なんてするもんだから更にそこで大騒ぎに‥‥‥

 


 そんな事があった翌日の朝、学校へ登校する。

 

 「今朝の由紀恵も可愛かったデース、気持ちよかったデースか?」


 「だから朝から襲わない! か、感じてなんかないもんっ!!」


 今朝は油断した。

 まさか朝早くからリンダに忍び込まれ豊胸マッサージを受ける羽目になるとは‥‥‥

 お陰でお兄ちゃん起こしに行くのにいろいろと準備が必要となり朝から下着の交換までしなければならなかった。


 

 ほ、ほら、汗臭いとかダメじゃん、いや、汗だよ汗!



 真赤になりながらお兄ちゃんを起こしに行ったけど大丈夫だよね?

 へ、変な臭いとかしてないよね?

 しっかりコロンも掛けたし‥‥‥



 「今日は体育の授業有りマース、私体動かすの好きデース!」


 「へえぇ、リンダって意外とアウトドア派?」


 「オーストラリアではカンガルーとコアラは猛獣デース、襲ってくるので戦う必要デース! 体動かすデース!」



 いや、カンガルーはまだしもコアラも猛獣なの?

 ユーカリの木にくっついていてもしゃもしゃ葉っぱ食べるイメージしかないんですけど?



 「カンガルーやコアラが猛獣? なんで?」


 お兄ちゃんは首をかしげる。

 

 「野生のカンガルー縄張り意識強いデース。オスのカンガルーすぐにボクシングしマース! コアラすぐ抱き着くデース、でも爪凶器デース!」


 うーん、実際は想像とは違うようだ。

 お兄ちゃんは自分の手を見て「そうか、コアラって爪が危ないんだ」とか言っている。



 「おはよぉ~、由紀恵ちゃん、リンダちゃん、友ちゃん~」


 紫乃が合流して挨拶してくる。

 そしてリンダに袋を渡す。


 「リンダちゃ~ん、頼まれた体操着だよぉ~」


 「OH-! 紫乃ぐっじょーぶデース! 私日本の体操着初めてデース!」



 ん?

 なんでこいつ体操着を紫乃から?

 確か今朝お母さんからもちゃんと学校指定の支給された体育着持たされたはずなのに??



 私はその時は深く考えないでそのままにしてしまった。

 勿論それが大騒ぎの原因となるとも知らずに‥‥‥



 * * * * *



 「さあリンダ、更衣室へ行くわよ?」


 「おー? カーテン閉めて男子追い出して教室で着替えるちがーうデースか? 日本のアニメ着替え始めて男子追い出されるデース」


 何それ?


 それに教室で着替えたら簡単に覗かれちゃうじゃない?

 私は変な知識のリンダを引っ張って更衣室へと向かう。



 * * *



 「で、でかい‥‥‥」


 「うわぁ~、本当だぁ~。リンダちゃん胸おっきい~」


 高橋静恵も警戒するはずだ。

 勿論恵姉よりも大きい。

 

 「でもこれ肩こるデース」


 リンダは下着姿のままそう言って自分で肩を揉む。



 くっ! 

 わ、私だって勉強ずっとしていて下向いていて肩こった事有るもん!!

 で、でかけりゃいいってもんじゃないわよ!!



 前にリンダの裸は見た事あるけど、下着姿だと余計に胸が大きいのが強調される。

 パッドなんて入っていない。

 しかも持ち上げる為のワイヤー入りだなんてうらやましい!



 と、先に着替え終わった私や紫乃は他の娘に当直だと言われた事で思い出し慌ててリンダを置いて先に用具室へ体育で使う用具を取りに行く。



 「リンダごめん、授業の準備が有るの。先行ってるね!」


 「だいじょーブイ、デース!」


 「おお~それ、あいるびーバックの人の昔のCMだぁ~」

 


 なんか喜んでいる紫乃を引っ張っていく。


 まあ着替えて校庭に出てくるだけだから大丈夫でしょう。

 私と紫乃は急ぎ用具室へ向かうのだった。



 * * *



 ざわっ!



 校庭に今日の授業で使う縄跳びをみんなに渡していたらリンダがやって来た。



 「なっ!? リンダ、なんて格好しているの!?」



 それはそれは驚きの恰好だった。

 上半身に大きく日本語で「りんだ」と書かれた名札が胸の所についているけど大きすぎるそれのせいで文字が歪んでいる。

 そして下に穿いているのは伝説の男子生徒がはぁはぁしてしまう紺色のブルマ!?


 今の体育の授業ではまずお目にかからないそれは女の私が見ても思わず赤面してしまう。

 ヒップラインが見事に出て、ま、前だってちょっときつい感じ。

 奇麗な肌の太ももが大胆にも付け根まで見えてしまう、水着でも無いのにこんな下着同然の体育着なんてあり得ない!!



 「リンダ! が、学校指定の支給された体育着はどうしたのよ!?」


 「あー、あれは小さいデース。長さ良いですけど胸入らないデース。それと短パンも腰緩いデース、お尻きついデース。紫乃に持って来てもらった日本伝統の体育着は伸縮性抜群デース、こっちは着れますデース!」



 い、いや、確かにうちの体育着はメッシュの素材の通気性が好いやつだから伸縮性は低いよ?

 でも支給時にサイズ確認くらいしているんじゃ‥‥‥



 「あ~、やっぱりねぇ~。リンダちゃんには学校指定の体育着は着れないかぁ~。サイズが日本人体形だもんねぇ~。私もMサイズだと胸きついもんね~。Lサイズだと長さがだぼだぼだし~」


 「紫乃!? ま、また大きくなったの!? そ、そんな! 私だってSサイズでまだまだ余裕が有ると言うのに!?」



 驚愕する私と数人の女生徒。

 思わず自分の胸を押さえてしまう。



 くっ!

 悔しくなんて無いもん!

 まだまだこれから大きくなるもん!!



 涙目でリンダを見ているとそれでも紫乃から渡された名前入りの体育着とブルマがちょっときつそうだ。

 


 「はいはい、みんな始めますよ~。あら? リンダさんその恰好って‥‥‥」


 体育の先生が来た。

 年の頃四十台に入る先生だが残念ながらまだ独身らしい。



 「懐かしいわねぇ~。私たちの時代はみんなそのブルマ姿だったのよねぇ~。でも今見ると凄いわね?」


 「いや、先生、驚く所そこじゃ無いと思いますけど?」



 思わずつっ込みを入れてしまう私。


 「ああ、そう言えばリンダさん、支給した体育着はどうしました?」


 「サイズ合わないデース。胸、お尻きついデース。短パンお腹ゆるゆるデース」


 「そうかぁ、やっぱりリンダさんのスタイルじゃ無理があったか。じゃ、そのままの恰好でいいや。始めましょ」



 いいんかいっ!?



 いや、服が無ければ購買部から持ってくればいいんじゃないんですか!?


 「今から体育着の変更届すると書類の手続きが面倒だからねぇ~。今日はいいや♪」



 面倒がっている先生。


 既に他の男子は校庭マラソンの授業を始めているけど走りながらみんなこっちを、いや、リンダを見ている。

 

 

 「運動の授業始めるデース!」


 にこやかにブルマからはみ出した下着を押し込みながらリンダそう言うのであった。



 * * *



 「三百っ! よっし、課題終わったぁっ!」


 今日の授業は何てこと無い縄跳びの授業。

 持久力とバランス感覚を整える為とか言ってやらされるけど流石にノーミスで三百回はきつい。

 失敗したらもう一度やり直しとか結構できない子もいる。



 「さ~んびゃくっ! うはぁ~、やっと終わったぁ~! あ、由紀恵ちゃん終わるの早いねぇ~。私胸が揺れて結構大変だったよぉ~」


 「えっ!?」



 課題をこなす事に真剣だった私はみんなの中でも早く終わった方だった。

 そして早く終わった娘のほとんどが私と同じ‥‥‥ い、いや、悔しいけど私よりは少し大きい子ばかり。

 思わずリンダを見る。



 ぶるん、ぶるん!



 「はぁはぁ、意外ときついデース。胸揺れて痛いデース」



 な、何だあれはっ!?

 リンダが縄跳びするたびにきついはずの体育着の胸がブルンブルンと揺れている。

 しかも時折左右別々に!?



 リンダ、あんたどんだけでかいのよっ!?  


 

 唖然としてそれを見ていた私は何となく校庭をマラソンしている男子たちを見る。


 何故お前らみんな前かがみで走っている!?

 しかもみんな走りながら頭だけはこっちを向いている!!



 「終わったぁ~デース!!」


 思わず「男なんてみんなケダモノよっ!」なんて思っている私にリンダが課題達成をした知らせをする。


 見ればほどほどに汗をかいていてしっとりと胸元も濡れて‥‥‥



 「リンダっ! 胸、透けてる!! ブラ見えちゃっている!!」



 慌てて言う私に校庭を走っていた男どもが一斉に躓き倒れる。

 それはそれはドミノ倒しのように見事に!



 き~んこ~んか~んこ~ん



 「あら、丁度授業終わりね。はい、みんな運動不足にならない様に気を付けてね? それと縄跳びは簡単にできる運動だからダイエット効果もあるのでみんなも続けることを推奨するわ。じゃ、今日の授業はここまで」


 そう言って先生はすたすたと去っていく。



 

 私は慌ててリンダを更衣室へと連れて行き着替えを持たせてからシャワー室へと連れて行くのであった。




  • Twitterで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る