続き

「「いただきます」」


 昼の十二時を過ぎた頃、おれと美香は勉強を一度やめ、昼ご飯を食べることにした。

 といっても、何か作ったわけでもなく、出前のピザを頼んでみた。

 誰かとピザを食べるなんて久しぶりだな。

 やっぱり一人で食べるより誰かと一緒の方が楽しいよな。


「んー、美味しいね!」


 やけに伸びるチーズを口に入れながら、美香は言った。


「だな。そしてこれを……」


 言って、おれはテレビのリモコンを手に取り、電源を入れる。

 同時にプレイヤーの電源も入れた。


「さ、昨日の続き見ようぜ」


 昨日の続きというのは、もちろん例のドラマだ。そろそろシーズンも終わりに近づいてきて、物語も佳境だ、


「うん!」


 目をキラキラ輝かせた美香はピザをバクバクと勢いよく食べていく。

 うん、ピザにコーラ、そして海外ドラマなんて最高の休日だな。

 しかも、こんなかわいい女の子と一緒に……

 少し前まで考えられなかった光景だ。

 幸せってこういうとこをいうのかな……

 なんて、おれはそんなことを考えながら、テレビを見るのだった。













 ♦︎













「やっぱり三人で一人前がいいよね」


 倒れかけていた主人公の手を取り、そう声をかける。

 隣を見ると、いなくなったと思っていた親友の姿が。

 胸に熱い何かがこみ上げてきたと同時に眩い光を剣が放つ。

 そして、剣を掲げ、その光は一直線に黒幕の胸に突き刺さっていく。


 だが、その光に浄化されるように黒幕は黒いモヤと共に消えていった。

 そして、エンドロール。


「え、ここで終わり……?」


 おれはたまらず、そう呟いてしまった。

 何故なら、今の話がシーズン最終話だったからだ。

 相変わらず、終わり方が意地悪い……

 ってか、なんで消えたんだ?

 黒幕って人間だったよな……?


 様々な疑問が頭を駆け巡る。


「……」


 一方、隣に座っているのに何故か一言も話さない美香。


「あれ、どうした……?」


「いや、次のシーズンを再生しようとしてて」


 言って、次の話を再生しようと準備を始める、


「いやいや、見たい気持ちはわかるけど、ここまでだって約束したじゃん……?」


 勉強を中断して早くも四時間が経過している。

 さすがにそろそろ再開したいんだけどな……


「じゃあ、さっさと勉強して続き見よう。はい、教科書出して」


「あ、はい……」


 いつもとは違う雰囲気をいきなり醸し出したので、おれは戸惑いながらも、教科書とノートを取り出し、広げるのだった。


「えーっと、うん。そうだね。あんまり教えてばかりも良くないから、ここから先は自主勉ってことで」


「いや、ちょっと!?」


 急に投げやりだな!?

 というか、ドラマ見たすぎて適当じゃん!?


「はは、冗談だって。冗談……」


 口では笑いながら冗談というものの、目は全く笑ってはいなかった。


 ドラマの見過ぎもあまり良くないな……

 おれは心の中でそう思うのだった。

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