第4話 大河とハスミ

闇が覚めていく。


薄れゆく闇。


それは朝靄のように。


音もなく、ゆっくりと。


僕の隣でスヤスヤ寝息をたてていたハスミの、大きくて潤んだ瞳が僕を心配そうに覗き込んでいる。


「大河、大丈夫?」


「え。あ。うん。大丈夫」


「うなされてたよ」


「あ。うん。なんかヤな夢見てた気がー」


僕は夢を見ていた。


だけど、はっきりとは覚えていない。


確か。


公安とか、テロとか。キムとか。


時計の針は04:00をさしている。


まだ辺りは真っ暗だった。


ハスミの露わになった上半身を抱き締めながら僕は言った。


「なんか、忘れちゃった」


ハスミはコクリと頷いて、キスをせがむような顔をした。


「んッー」


おたがいの冷たい鼻先がくすぐったくて。


その感覚は魔法みたいで。


僕は夢のことなんかどうでもよくなっていた。


そして裸のまんま。


キスをした格好のまま。


僕たちは再び眠りに堕ちていった。


いつもの香りと甘い心に包まれながらー

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