感謝の意と第109話
この度カクヨムにおいて当作品のフォロワー数が1000、評価が500、またこれは少し前ではありますが話数も100という大台を突破しました。
本当ならばフォローしてくださった方、評価をくださった方、コメントやレビュー、応援の♡をくださったその一人一人へ感謝の意を伝えたいところではありますが、流石にそういうわけにもいかず、この機会に一度皆様へ伝えられたらということでこの109話冒頭を使わせていただきました。
あまり長々とやるのもよろしくないのでこれだけ。
今までありがとうございました、今後もよろしくお願いします。
◇
「例えばだ、この前のダンジョンでお前飲み込まれてただろ? 他にも」
「うん」
あれはびっくりした、まさかただのデカい葉っぱだと思っていたら突然挟まれてしまうのだから。
ああいうのを何というのだったか……食事中植物……? ともかくレベルのわりに堅牢な体をしていたし、もし同レベルの相手だったら逃げ出すことはできなかったかもしれない。
うむ、なかなか奴も強敵だった。
「何深く頷いてるんだ……? 確かにあれを一人で抜け出せた点は評価に値する。機転が利くのはいい、長所だ。だが『機転が利く』ことに頼りすぎるのは短所だ、そもそも『機転を利かせる』必要があるような状況に陥るな」
「……? どういうこと? もっとわかりやすく言ってほしい」
「……危険を避けろ、意識をもっと周りへ配れ。そもそも確認を怠らなければ飲み込まれることもなかったんだからな。魔石の爆発は――お前は確か魔法が使えないんだったか、それならなるべく危険な使い方をするな。体の傍で爆発させたりとかはやめろ」
私を指さし言い切った彼は、はあ、と嘆息。
「戦い方が一々邪道過ぎるんだよ。結城、お前は自分の身体をもう少し労われ。どうしてそんなに死に急ぐ?」
「別に……死に急いでなんかない」
「いいや、死に急いでるな。お前は自分のことなんてどうなってもいいと思ってるよ、だから一々向こう見ずな方法ばかり選ぶんだ」
そんな事絶対ない、言い切るのは簡単なはずだというのに、なぜか彼へはっきりと伝えることは出来なかった。
酸素が足りなくなった金魚のようにパクパクと口を開けて、暫し筋肉を睨むも何も出ずうつむいてしまう。
これじゃまるでその通りだ、何も言い返せませんって認めてるみたいで……
「兎も角、俺に指南されたいってんなら今後は俺の指示に従え」
「……分かった」
結局私は彼の命令を受け入れるしかなかった。
◇
「マスター、お説教もいいですけど今日することはソレだけじゃないですよね? 模擬戦もするとか言ってませんでしたっけ? あ、これ麦茶のお代わり置いときますね」
重い空気を払うように現れた園崎さんは、なみなみと新しい麦茶の入ったピッチャーをでん、と置き、ばしばしと筋肉の背中を叩いた。
フォリアちゃんにはこれもあげるわ、と差し出されたのはミカン入りの牛乳寒天。
日陰になっているとはいえ決して涼しいとは言えない外、ひんやりと冷たいそれを口に含むとほろりと崩れ、甘酸っぱい味が口いっぱいに広がる。
コンビニスイーツのように派手な甘さなどはない至極単純な出来、だがその味がすごくおいしい。
「おいしい、ありがとう」
「そう、よかったわ!」
「おい園崎、俺の分は?」
「え? ありませんよ? 残りは私が食べるので」
「……お前も後で説教な、覚悟しとけよ」
「ええ!? なんでですか!? 横暴ですよ、職権乱用です!」
今すぐ持ってきますからちょっと待っててください!
そう言い残し協会内へ走り去る園崎さん。
その説教とやらはもしかして、先ほど私がもしかしてと尋ねてしまった、彼女が本を食べていたことについてだろうか。
もしそうなら一寸可哀想なことをしてしまったかもしれない、言わなければよかった。
彼女の背中を見送り天を仰ぐ筋肉。
彼の顔には呆れや親しみなどの感情が幾重にも重なり、何とも表現しがたい表情になっている。
「ったく……昔は純粋で可愛かったのに、どうしてああなっちまったんだ」
「ねえ、模擬戦って?」
そう、しれっと流されそうになっていたが園崎さんは気になることを言っていた。
模擬戦、そのまんま受け取るなら私と彼が練習試合をするということ。
だが模擬戦と言えば実力の拮抗している人が高め合うというイメージが強く、はっきり言って天と地の差があるであろう彼と私が戦おうと、それこそ一瞬で地面を舐めることになるのは想像に難くない。
「ああ、そういえばそうだった。やっぱり物を教えるのは実戦形式で体験した方が習得しやすいからな、一人一人に合った戦い方はあれど教えられることもある。戦いつつそれを指摘しようと思ってな」
「ああ、だから武器出せって言ってたんだ」
そう、最初に出しておけと言われ、私たちの傍らにはカリバーや彼の大剣が縦掛けられていた。
最初は彼自身模擬戦をするつもりだったのだろうが、あれこれ話して脱線を繰り返すことで、筋肉自身最初の目的を忘れてしまっていたようだ。
私の問いかけに彼は頷き
「ああ。どうする、いけるか?」
「わかった、やる」
もちろん私も彼の弟子になると志願した身、詳しく教えてくれるというのに断るわけがなかった。
あと戦い方を否定されてちょっとムカついたところもある。
私だってこれでずっと勝ってきたんだ、たとえ間違っているからと言って素直にすべてを飲み込めるわけがない。
せめて一発は叩き込んでやる、これが私の戦い方だと少しは認めさせてやらなければ
覚悟しろ筋肉、その艶ある頭をかち割ってやるからな。
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