04 X435

「31歳?」


「そう。三十路」


 目の前の女性。違うなと思った。目算ではかれる情報と、彼女の心拍数とか吐息から逆算して。


「21才とか、それぐらいに見えるよ?」


「ありがと」


 実際に、21才のはず。電光掲示板の調整とかと同じで、こういうのは正確に計れる。


「若いに越したことはないよねえ」


 顔にさびしさがよぎったから、それ以上は聞かないでおいた。女性は基本的に年齢の話をしないのに、彼女は自分から年齢の話を始めた。何か、思うところがあるのかもしれない。


「わたしね」


 そこで。十分じゅっぷん


 表示が、午前四時69分から午前5時10分に。切り替わる。


「ごめん。続きは、また今度」

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