02 X435

 午前四時。


 いつも通り電光掲示板のチェックをしていたら、女性が一人で歩いてきた。


 治安がいいので、この街では夜中に女性がひとりでコンビニにスイーツ買いに行っても大丈夫。正義の味方がたくさんいて、街を守っている。自分も、そのひとりだった。


 歩いてきた女性。


 なんとなく、電光掲示板を指差して。調整中の時間を教えてあげた。


 そしたら。


 女性が、電光掲示板を見て。


「ほんとだ」


 と言って、眺めてくれた。


 それだけで。


 自分のなかの、景色が。


 世界が、変わった。


 誰かに見られて。話すことができて。こんなにもあたたかい気持ちになるなんて。思っていなかった。いつもは正義の味方同士で意思疏通してるだけで。恋愛とか、そういうのは。考えたこともなかったし、必要ないと思っていた。


 でも。


 彼女に会って。


 彼女と話して。


 変わってしまった自分がいる。

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