午前四時69分、あなたに捧げる私の声 (15分間でカクヨムバトル)

春嵐

01 nno.15

 不思議な出会いだった。


 仕事の関係上、帰るのはいつも深夜から早朝にかけて。打ち合わせや次の収録の確認があるので、時間もまちまちだった。いちおう、午前四時までには解放される。次の番組が始まるし。


 いつも通り、誰もいない街を、てくてくと歩いていると。


 彼がいて。


 電光掲示板を指差して。


「あの電光掲示板。四時だけは、61分より先があるんです」


 と言った。


 それが出会い。


 彼は、電光掲示板とか街頭の表示とかをいじる仕事をしていると言っていた。


 午前四時、69分。


 そこで、電光掲示板の調整が終わって午前5時10分に表示が切り替わる。


「好きなんですよねえ。この、昨日と今日が交わるような、この一瞬が」


 分かる気がした。わたしも、夜と朝を繋げる仕事をしているからだろうか。

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