222話 決戦

まずは、奴に女神の力を使わせなくてはいけない。


余力を削いでからが、本当の戦いだ。


「カグラ! 体力は残ってるか!?」


「もちろんなのだ!」


「オルガもいいか!?」


「御意!」


「では——行くぞ!」


俺の掛け声で、三人で駆け出す!


「さあ! 来るがいい!」


「セァ!」「ヤァ!」


右から槍、左から剣が迫る!


さあ、どう動く!?


俺はいつでも動けるタイミングで、奴が動くの待つ!


「……クク、私に剣を二本抜かせるとは」


「なっ!?」


「くっ!?」「拙者の剣を片手で……!」


そこには避けもせず、左右の剣で槍と剣を止めたターレスがいた。


「セレナ! 合わせろ——フレイムランス!」


「はい! ウインドアロー!」


「カァァァ——!!」


ターレスの背中から光の槍が出現し、俺たちの魔法を相殺する!

両手が塞がった状態でも可能か……だが、光魔法ということは女神の力だ。

それを使わせることは無駄ではないはず。


「セレナ! 引き続き魔法だ! 相手を削るぞ!」


「はい!」







……どれくらい時間が経った?


奴の魔力は無限か?


いや、そんなわけはない。


女神の力があろうが、奴本人は人なはず。


それは、クロスを宿している俺だからこそわかる。







そして……その時が訪れる。


俺とセレナの魔法を、ターレスが相殺できなくなってきた。


「ぬぅぅ……!」


「今だっ! 灰燼にせよ——インフェルノ黒き炎!」


「はい! 風の女王よ! その力を示せ——シルフィード!」


俺が黒き炎、セレナが風のレーザービームを放つ!


「甘いわっ!」


「させないのだ!」


「させません!」


「ぐあっ!?」


避けようとしたターレスの両足に、二人が引き際にダメージを与える!

その行動は値千金で……奴が避けるのが遅れる。


「ガァァァァァァァア!?」


風のレーザービームに腹を貫かれ、体全体を闇の炎が包み込む!


「オルガ! カグラ! 離れろ! 巻き添えを食らう!」


「「御意!!」」


指示通り、二人が俺たちの元に下がってくる。


奴が普通の人間なら、これで終わるはずだが……。


次の瞬間——無数の光のレーザーが飛んでくる!


その数は膨大で、とても避け切れるものではない!


「くっ!? 多すぎる!」


「ァァァ!?」


「くっ!?」


「オルガ! カグラ!」


二人がレーザーをくらい、倒れこむ。


「三人とも! 俺の後ろに!」


セレナたちが動くことを信じ……。


(クロス! 頼む!)


(はい! パパ!)


俺は二人を守るように立ち……。


「こい! クロス!」


「グガァァァ!!」


切り札の手である、クロスを召喚する。


そして、その黒き翼が、俺たちを包み込む……。

  • Twitterで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る