第50回 卑弥呼ママの声には魔力があって、私を前向きにしてくれた。

私は分析のために、卑弥呼とのコラボ配信を見ようと思った。

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「おはひみ~。」

黒髪ロングの白い着物を着て、頭に金の装飾をつけている清楚な女性がしゃべっていた。


コメント

:おはひみ~。

:おはひみ~。卑弥呼様美しい声ですね。

:おはひみ~。また、同じコラボかw

:おはひみ~。また、卑弥呼様とコラボですか


卑弥呼様の声が、憧れかつ目指していた声優さんと似ており、その美しい声に感動して、気付いていたら涙が流れていた。


――――――いつ以来だろう。人の配信を心の底から楽しもうと思ったのは。


「おは~。ひみ民のみんな元気している?」

理は、いつもの抜けた感じであいさつをしており、いつもなら殺意が湧くのだが、何も感じていない。

卑弥呼様の声の魅力で殺意が消えて、魔法にかかったみたいで、少し驚いている。


コメント

:今日も、仲良くやってくださいね

:理さん。おはよう。


「ことちゃん、最近、おかしなことしていないの?」

子どもが悪いことをしていないかと母親が心配しているみたいな感じで聞いてきた。


「なんで、第一声がそれなの?」

少し驚いた感じで理が聞いてきた。


「ことちゃんって、企業勢なのに、コンプライアンスがないからさ。

監視役として我がいるのよ。」

すこし威張った感じで卑弥呼は言った。

マネージャーすらもブレーキが利かずに、事務所から監視役として任されているのだろう。

こんな問題児を突き放していいわけがない。


コメント

:ホットケーキつくろうとして、火事になっていたよ。

:火災報知器がなっていたよ。

:料理配信で火事になりそうだった。


「よくはないけど、良かったわ。

予想より上の事をされなくて、安心したわ。

我の感覚も狂っているから、突っ込まないでね」

卑弥呼は心の底から安心したためだろうか。

息をすこし整えており、声から安心した感じが伝わってくる。



「もぅ~、ひみちゃん。心配しすぎ。」

過保護に扱われていることに対して、少しいらだっている理はそっぽを向いている。


「我さ、ことちゃんがいなくなったら、おかしくなると思うんだよね。

ことちゃんに支えられているってところあるからさ。

事故とか犯さなくても、無意識的に敵作ることが多いから。

ことちゃんは天才だから、我がいろいろ言ってもしょうがないけどさ」

少し諦めも入った感じで卑弥呼は言っている。


私も、その感覚は分かる気がする。

理は天才タイプのライバーであり、私みたいな凡人ライバーに彼女の才能を疎まれていることを卑弥呼は理解しているのだろう。

なぜ、疎まれているか。理は、天才故に分からないと思う。



「我から謝るね。

ことちゃんってさ、天才なのよ。

我みたいな凡人には見えない世界が見えているから、凡人の気持ちが分からないんだよね。

実際、好きなことやってるだけじゃ数字が取れないけど、ことちゃんは好きなことだけやって数字取れているじゃん。

でもね。ことちゃんなりの私たちにわからない制約があるんだと思う。

楽しくやって数字取れるの妬ましいのは分かるけど、ことちゃんみたいな天才は自由にさせてほしいんだ。」

凡人である卑弥呼は、天才の気持ちを凡人なりに説明しながら謝罪をしている。

この姿に情けなく思う反面、理への母性みたいなものを感じた。


娘のために母親が頭を下げて謝っている内容は、間接的であるが私の闇で。

それを追い払ってくれて、心の底から暖かくなってきた。


私は、母性系の性癖は興味はなかったのだが、少しづつ卑弥呼に甘えたくなってきた。

正直、理がうらやましい。


「ひみちゃんさ、周りのこと気にしすぎだよ。

自分がやりたいようにすればいいじゃん。

自分と合わない人はバイバイすればいいと思うけどね」

当たり前のように理は言っている。

実際、それができればみんなは苦労しないのだが、これが天才との違いか。


「たしかにそうだね。

我も、やりたい放題やっていたわ。

上から来るリスナーはひねり倒しているわw

対等の立場かつ性格が合いそうなやつしかまともに取り合っていないわ。

嫌だったら、そういう人を切るのもいいかもね。」

卑弥呼は理の意見に納得したためか、にやっと笑って言った。




私はこの発言を聞いて、個人勢に残り続けるという鎖を切って、気持ちが楽になったのである。


卑弥呼ママの声には魔力があって、私を前向きにしてくれた。

だから、キラライブに入って、一緒に同じエンターテイナーとして配信したくなってきた。

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