第49回 浜水が個人勢に諦めた理由
浜水は、次の話題を考えている時、ふっと過去のことを考えていた。
元々個人勢として活動しており、何かと縛られていた気がする。
卑弥呼様の配信を見るまでは・・・
最初のころは、みんなを楽しませたい・癒したいと声優ごっこで始めたV活動も。
私が個人勢のトップ層を走っていることによって変わってしまった。
個人勢を崇めるリスナー層が多くおり、そのリスナーの中には、事務所への転生を望まない者がいて、毎日のように個人勢として残れと命令してくる。
個人勢Vは、著作権やコンプライアンスが軽視されて、楽だと思っていたが、実際そうでもなかった。こうして、圧をかけてくるリスナーが多くいたわけだし。
実際、その声でやめたいと思うことも何度もあった。
私の声を曲がりなりにも認めてくれる人もおり、声優志望であった看護師にとって夢のステージを下りることになってしまい、やりがいをなくしたくないという思いが勝ってしまった。
そう、Vになっている時は、声を使った最高のステージに立っている。
アニメを見て、目を輝かせていた幼少期の自分にも、高校生の時に声優イベントへ小遣いを握りしめて走っていた自分にも誇れることをしているのだ。
つまり、魂を吹き込むことで、私みたいなオタクに支持されていることが夢である。
昔の自分に見せられない姿。
患者や医者にこき使われながら、生きるための金を稼ぐ薄汚い看護師ではない。
だから、声を使って活動し続けてきた。
その成果、ファンも増えつづけ、それに伴い個人勢に縛りつづける者が増加していき、同じ時期で始めていた理との比較が始まった。
放送ジャンルは全く違うのに、同時期というだけで大手V事務所のタレントと比較されるなんて、理不尽でしかない。
同じような命令を何度も聞き続けて、私もそういうやつらに洗脳されたわけか。
理との比較を行い、配信の面白さを捨てて、数のみを見ている。
こういう日々は楽しくなくなり、昔の自分に見せたくない情けない姿だ。
理の狂気は私の演技より人の心を魅了していき、差はかなり広がっていった。
この差で、まるで人生に絶望したみたいに心がすさんでしまい、最近ため息しか出ない。
自分がチャンネル登録者数2万で、理は10万。
同時接続数1000人だが、あいつは2000人と多い。
あいつには、かなわないと心で自覚してしまった。
しかも、事務所のブランドがあり、通常の努力では勝てなく、チャンネルの分析を行った。
私は、分析するために理の配信をめぐっていており、とある配信にたどり着いた。
タイトル ひみちゃんと雑談するよ。
理がコラボ配信するなんて珍しいなと思っていたが、配信を遡っていると、ひみちゃん以外とコラボしていないみたいだ。
試しに見て見ようと思った。
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