失敗ープロローグー2

 言い忘れていたが、穂雁は軽音楽部に入っていた。全国大会では毎回良い結果をとっている強豪で、遠征も多かった。

 彼女から、色々と事情は聞いていたので、なにかと理解はあった。


 前回の補足はこれでいいとして。


 あの問題発言をしてから、穂雁は『いいよ。』と言ってくれた。が、多分相当大きな傷をつけてしまっただろう。なんて自意識過剰か。

 とにかく喜んでいてくれた心を裏切ったのだ。

 俺が最低なやつであることは事実だろう。

 そうして、春休みは明けた。

 俺の中学校では、クラス替えを前のクラスの担任が発表すると言う制度だった。

 前のクラスに戻ると、出席番号的に隣になった。

 当然のように気まずい雰囲気に包まれる。

  「……ごめんね?あの時は。」

  「うん。……キモかったよね。」

 自分がひどいのはわかっている。が、流石にキモいの耐性はついていなかった。

  「でも、ひどいことしたから…」

  「あんなにひどいことしたんだから、何かお菓子奢ってよね。もちろん一つだけなんて言わないでね?」

  「ええ…、まあ分かったよ。今度奢る。」

 この言葉を最後に二人は別々のクラスの教室へと入っていく。

 俺たちは中三になり、受験生となった。

 そして俺たちはと言うと、別れたとは思えないくらいの距離感で、むしろ今最中ではないかと疑うくらいの仲だった。

 ——————ラインの中では。

 というのも、今まではしていなかった、通話をしながら勉強をしたり、お互いに口で弄り合うようになった。

  『通話しよ』

 と、突然着信が来た時は、心臓が跳ね上がるくらい驚いた。

 通話では、進路のことや、行事について話した。つまり、何気無い日常的な会話をしたのだ。

 そして俺は思った。

————————————なんか恋人っぽくね?

 ついこないだ別れたのだ。もう少し険悪になってもいいはず。でもなぜだか距離感が近い。

 しかしある日。

穂雁の好きな人についてラインで話していたら

   『…………しつこい』

 と言われてしまった。

なので、俺はすぐさま謝罪をした。

   『ごめんね』

——————————しかし返事は一向に返って来なかった。

 ブロックされたのだ。

 訳もわからず、ただ唖然としていた。

 女の子って怖いね。

 そういうわけで、俺たちは突如として疎遠となった。訳が分からないと思っている方、いるだろう。ご安心なされ。俺も全く同じだ。

 結局、俺たちはこれ以降、何も話さずに受験を迎え、高校へと進学した。

 え?話が早すぎる?

 ふふふ、ご安心あれ。

 これから始まりますから。

 チョ待てよ。



 

 

 

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