怖いこと


 少しの違和感があっても


 わずかな不安を感じても


 その正体がわからなければ


 為す術もなく


 日々の暮らしを続けるしかない


 気が付けば違和感と不安は


 隣人のようにそこにいて


 それが当たり前になってしまう


 開けられない箱の中の宝物は


 絶対に盗られないと思い込み


 確認はしない


 日常を仕舞う完成された箱に


 注射針で少しずつ


 微量の毒を混ぜられているとも知らず


 崩壊の末に蓋を開ければ


 中身はすっかり腐り果てている


 

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