夢 2020.10.31

 拳銃を握りしめていた。

 実家のすぐ近く、友達の住むマンションに大勢の人と閉じ籠っている。扉の外からは発砲音や怒鳴り声が聞こえる。

 はい。と注射器を知らない女の人から渡された。何も言われていないけど、私はそれを持って扉を開け外に出た。

 そこには鎖で繋がれた男の人が膝をついてこちらを見上げていた。睨まれているけれど、私は何も感じない。そのまま男の目の前にしゃがみこんで迷うことなく注射器を男の首筋に突き立てた。

 毒が入っていたのかな。男の人は暫く呻き声をあげていたけれどそのうち動かなくなった。


 それからマンションに閉じ籠っていた他の人たちは一斉に外に出た。

 マンションから私の実家の方に進むとバスが来た。バスの名前は私の名前と同じだった。隣にいた母に「私と同じ名前だ。」と言うと、「そうね、あなたの名前は静かで落ち着いているって意味だから。」と頭を撫でてもらえた。

 そのまま母は、幼い頃の私を連れてバスに乗って行ってしまった。


 ひとり残された私は近くにいた知らない男の人に声をかけたけど、一緒にいてくれなかったし、とうとうバスが再び来ることはなかった。

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