Candy
まる
Trick or Treat
「ハッピーハロウィン!!」
「…なんですか、先輩。」
「蒼くん!今日はハロウィンですよ…☆」
「星が付きそうな喋り方いい加減やめた方がいいと思いますけど、郁先輩。」
「そんなことはどうでもいいじゃないですか!はやくあれ、言ってください☆」
「嫌です。」
「そうだと思いましたよ…。蒼くん……。」
しょんぼりした顔をされても言わないって決めてるんだ。
「仕方ないですね、私から言います。Trick or Treat!お菓子をくれなきゃイタズラするぞ!」
がお〜ってポーズしてるし、なんなんだこの先輩は。毎回毎回。
「先輩、俺、お菓子持ってないです。」
「ふふふ…じゃあイタズラ決定ですねぇ…とその前に、蒼くんもこのポーズで言ってくださいね?」
「えっ、もっと嫌です。言いませんよ。」
「お願いしますよぉ……蒼くん。」
うぐっ、出た!!この顔!!この顔されると断れないんだよなぁ……。仕方ない、言え言えとうるさい先輩に今回は負けないつもりだったけど。俺の負けだ。
「…Trick or Treat。」
「蒼くん…!!」
うわぁ、やめてくれその笑顔。そのまま固まってるし、なに…?なんか考えてんの??分からないから怖い…!!
「…先輩?」
「おっと、失礼!あまりにも可愛くてつい!……はい、お菓子です、どうぞどうぞ!私特製の飴です!食べてください!」
「か、かわ…?!なんか怖いから嫌です。」
「ふふふ…はい、あーんしてください。」
聞く気ないし…。いつもの事か。
「いや、待って、変な色だけどなんも入れてないよね?!」
「さぁ、どうでしょうね?安心してください、ただのイタズラですから。蒼くんがお菓子を持っていないのがいけないんですよ?」
「いやいや!怖いって!!」
そんな事を言っても聞いてくれないし、イタズラにしては、なんだかいつもより真剣な顔をしているような気がした。食べるか…と覚悟を決め、口を開けると飴を入れてくれた。
イタズラって言うから相当まずい飴かな、と思ったけど、美味しい飴だった。
食べ終わると先輩が聞いてくる。
「どんな味がしました??蒼くんに分かりますかね??」
「なんですか、バカにしてるんですか??いちごです。いちごの味がしました!!」
「おおお、そんな大きな声で言わなくても良いですよ☆」
先輩はふふーんとなにやら楽しそうに紙を見ている。飴を包んであったものは俺がもらった。記念にって先輩が。
「なに見てるんですか??」
「私の作った飴には言葉も付けたので、改めて確認していました。味によって言葉が違うので…☆」
「じゃあ、いちごはなんですか??」
「それは、蒼くんが確認してください!」
そう言って先輩は足早にどこかへ行ってしまった。
なんなんだろう?気になってその紙を見てみる事にした。
「え………?!間違えてる?だって先輩は…」
慌てて、手に持っていた包んであったものをよく見ると、小さな小さな文字でいちごと書かれていた。
「間違いじゃないって事…?」
紙には
”あなたの事が好きです”
と書いてあった。
Candy まる @maru_33726
★で称える
この小説が面白かったら★をつけてください。おすすめレビューも書けます。
カクヨムを、もっと楽しもう
カクヨムにユーザー登録すると、この小説を他の読者へ★やレビューでおすすめできます。気になる小説や作者の更新チェックに便利なフォロー機能もお試しください。
新規ユーザー登録(無料)簡単に登録できます
この小説のタグ
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます