目盗り婆さんの弟子

@spongeno

第1話

 はあ、そうです。そうですよ!

 わたしが、そうです。本人ですよお。

あんたは、記者の方ですねぇ。わたしは、はじめて記者のひとってのに合ったよ。これ本になるの、それとも雑誌かなにか?うえぶきじ?ああ、いんたーねっと。いんたーねっとはね、図書館で使ってるのを見せてもらったことがあるんだよ。なんだか色々出てくるでしょう。ぱぱってね、ぱぱって。すごいやいねぇ。

 いんたーねっとで、わたしのことを見た?わたしをしってる人とめぇる?めぇる?ふん、てがみ...いんたーねっとでてがみ?いっしゅんでねぇ。わたしをしってるひとって?いえない?ふぅーん、そういううもんかい。噂ね。ふぅーん。いんたーねっとってのはなんだかとにかくすごいんだいね。なんだか、魔法みたいでね!

 ええ、いやぁ、わたしは魔法は使えませんよ。あんたが何を聞いてきたのか知らないけど、魔法使いじゃありませんね。ただの目盗りですよ。目を盗るだけなんさ。

  そう、カラスがね抉ってきてくれるんさぁ。それは、魔法じゃないんですよ。だって、わたしは何もしてませんからねぇ。ただ、そうなんです。先代の目盗り婆さんの時代から、そうなってるってだけです。その前の、そのその前の、そのそのその前のそ、もっとその前からねぇ。

 目盗り婆さんてのは、前の目盗り婆さんがそうだ、っていってたからさ。名前?しらないよ、そんなの。ただの目盗り婆さんだよ。

 そう、ただカラスがわたしを馬鹿にした人たちの目ン玉を抉って、そんでね、そのキラキラの目ン玉をね、このわたしの手元にね、もってきてくれるんさね。なんで?どうして?どうやって?

 そりゃ、わかんないんさ。なんでか、そういう風になってんだから、しょうがないやいね。前の目盗り婆さんだって知らないんだから。誰も、知りゃしないんさね。ただ、わたしを馬鹿にしたり悪口いったやつらはカラスに目を抉られるんさぁね。

 そうそう。それでね、前にね、町内会長さんの目をねぇ。あの人が、おーか私の悪口をいってきたんで。詳しくって言われてもね、それだけだよ、それだけ。わたしの悪口をいったからカラスが町内会長さんの目を抉って持ってきたんだよ。それだけだよ。

 この目?左目?そう、これはそう抉られたんだいね。カラスがね突いていったんさね。そうさ。前の目盗り婆さんを馬鹿にしたから。

 わたしがちびのころで、えーと、6歳くらいのことだったか。100年は前のことだいね。えっ、そんなはずないって、わたしは70歳にもなってないだろって?いや、いや、そんなに最近の話じゃないんさぁ。わたしは、そんなに若かないんさぁ!ええ?いや、いや、嘘つきゃしないよ...嘘じゃないよ。嘘じゃないっていってんだろぉ…

 とにかく、わたしは目盗り婆さんを馬鹿にしたんだ。あの時、目盗り婆さんは粗末な服をきてさ、ちょっと弱ってきてたんさ。200歳も過ぎたら仕方ないやいね。えっ、200歳のハズない?ああ、またそういう話...とにかく、とにかく、とにかく、聞いてくださいナ。

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