第3話 シドニー男爵への憧れ

私は、シドニー男爵家に住み込みメイドとして雇われることになった。仕事はお屋敷のお掃除で、夕方には厨房でコックさんの仕込みを手伝った。


「おぉ、マドレーヌちゃんは料理がうまいなぁー。筋がいい」

そんなふうに、褒められたことなんてなかったからすごく嬉しかった。

メイド長のアイラさんは、すごく面倒見のいい方でなんでも丁寧に教えてくれた。

もう、私は飢えることもないし、心ない言葉に傷つくこともない‥‥嬉しい。


「やぁ、ずいぶん、手際よくお茶を入れられるようになったね!美味しいよ」

シドニー男爵は、優しく微笑んでくれた。キラキラした金髪。蒼い眼は聡明さに満ちていて、この男性が美しさだけではないことを物語っている。私には手の届かない貴公子。





「今日は、シドニー男爵の婚約者のオーロラ・メイヴ男爵令嬢がいらっしゃるから失礼のないようにね」

メイド長(アイラさん)が、テキパキと指示をする。


――そっか。だよね?婚約者さんがいるのか。きっと、綺麗な教養ある女性に違いない。


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