第3話 シドニー男爵への憧れ
私は、シドニー男爵家に住み込みメイドとして雇われることになった。仕事はお屋敷のお掃除で、夕方には厨房でコックさんの仕込みを手伝った。
「おぉ、マドレーヌちゃんは料理がうまいなぁー。筋がいい」
そんなふうに、褒められたことなんてなかったからすごく嬉しかった。
メイド長のアイラさんは、すごく面倒見のいい方でなんでも丁寧に教えてくれた。
もう、私は飢えることもないし、心ない言葉に傷つくこともない‥‥嬉しい。
「やぁ、ずいぶん、手際よくお茶を入れられるようになったね!美味しいよ」
シドニー男爵は、優しく微笑んでくれた。キラキラした金髪。蒼い眼は聡明さに満ちていて、この男性が美しさだけではないことを物語っている。私には手の届かない貴公子。
☆
「今日は、シドニー男爵の婚約者のオーロラ・メイヴ男爵令嬢がいらっしゃるから失礼のないようにね」
メイド長(アイラさん)が、テキパキと指示をする。
――そっか。だよね?婚約者さんがいるのか。きっと、綺麗な教養ある女性に違いない。
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録(無料)
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます