第2話一時間目・国語
一時間目が始まった。チラッと横を見る。キミの机には、筆箱しか出ていない。うつむいて、気まずそうにしている。
「…今日はこのページを音読してもらいましょう。じゃあ…この列の人、順番にお願いします。」
先生が窓際から二番目の列を指差した。その列の一番後ろはキミ。前の席から順に、段落ごとに音読が始まった。キミは、さっきよりもさらに頭を下げてしまう。
「今、このへん。」
小声で言いながら、僕は教科書をキミに渡した。
「……ありがとう。」
眉をハの字にして、キミは小さくつぶやいた。キミの順番が来ると、なんとか読みきった。こっちまで、ハラハラする。
分からない。今まで、この逆は何度かあった。キミは頼もしい子だと思っていたのに。
気になってしまう。
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録(無料)
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます