いつか見た、南国の星々を胸に抱いて

蒼草太

著者まえがき

 私の元部下は、ADHDという障害を持っていました。私は、人事部経由でそのことを知らされましたが、どのように対応すべきか分からず、今思うと彼に相当な負担、苦労を強いてしまいました。そして、彼はついに病んでしまい、会社を去りました。


 彼らは、年を重ねるにつれ、社会への適応することへの困難から、自信を失くし、自己肯定感が低下していくために、うつ病などの二次疾患を引き起こすそうです。そして、そのことでさらに、自己肯定感が下がり、社会や実生活への適応に支障を起こす、という話を聞きます。それは、負のループとなり、どんどん悪化していくのだと。


 先日、あるテレビ番組の特集を見ました。そこでは、ADHDの方が「発達障害がどんなものか、世間にもっと知って欲しい」と訴えられていました。


 世間では、新型コロナの流行、それに伴う経済悪化が深刻化しつつあります。

発達障害者などの社会的弱者にとって、ますます生きにくい時代になりそうです。


 そんななか、生き辛さを感じながらも、かろうじて生きてきた人が、命の尊さと絆を感じることで、生きる力を取り戻し、再生する物語を書きたいと思いました。   

                 令和二年十月ニ九日  蒼草太』



※この物語はフィクションです。時代背景、発達障害については、いくつかの書籍(物語の最後に、参考にさせていただいた書籍を挙げます)を調査の上、執筆を進めましたが、必ずしも実態と同じとは限りません。特に、発達障害には様々な現れ方があり、いくつかの障害が重なっていることも多々あるようです。また、文鳥については自らの長年の多頭飼育の記憶を元に記載しましたが、その飼育方法についても、必ずしも当時および現代の実態に即したものではありません。

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