キモい転生者に悪態ついたら女神降格された件について。
ZE☆
『汚女神転生』
こいつ、全然転生しようとしねぇじゃん。
目の前の冴えないニンゲンは腕組みしたまま長考を続けている。
えーっと、今は何の話だっけ?
あ、生まれか。
「ときに女神殿」
「ああん?」
「そちらの世界では奴隷制度はありまするのか?」
「知らねぇよ。てか、その喋り方めっちゃ腹立つからやめろ」
「ううむ……奴隷ちゃんとイチャコラチュッチュするのもアリですな」
マジできめぇ。
ウルスラの奴が急に半休なんか取るから私がこんな貧乏くじを引かされる羽目に遭ってる。本当に理不尽だ。この世に神様はいないのか……女神だけれども。
「女神殿、女神殿」
「だからその呼び方――もういいや、なに?」
「拙者、エッチな想像をしていたら何だかムラムラしてきたでござる」
マジかコイツ……ガン勃起してやがる。
女神の転生者マニュアルには転生者様は神様である、なんて一文が載っているけれど、下の世話までしてやる義理はない。イケメンならまだしも、こんな気色の悪い男の相手なんて死んでもごめんだ……まぁ女神だから死ぬとかないけれども。
「おい豚、いい加減にしろよ?」
「ふっふっふ、そいつはご褒美でござるぞ!」
本気で頭痛くなってきた……。
かれこれ丸一日近く経つってのに、このニンゲンは転生メニューの決定を渋りに渋ってやがる。
トラブルリストにも転生メニューを少しでも良くしようとする悪質な
「なあ、どうしたらアンタは納得すんだよ?」
「納得もなにも……拙者はまだこれが夢だと思ってるでござるよ」
「はぁ? その腐った脳天カチ割って現実だって教えてやろうか?」
「女神殿にはイマイチ伝わらない話かもしれないけど……拙者のようなキモオタでも、普通に生きていたかったでござるよ」
……そんな顔するの、ズルいよ。
「なんつーか、その、ごめん」
「いいんでござるよ。拙者こそ、女神殿の御手を煩わせてしまって申し訳ないで早漏……あっいや、候」
死ね。
~女神休憩中~
「あっはっはっはっは——それは災難だったね」
「笑い事じゃないっつーの。サビ残に加えてその原因があの気色悪い男っしょ? さすがに女神やめたくなったわ」
「ルキっちは顔でも口でもすぐに出ちゃうし、逆にストレスフリーじゃない?」
「いやいや、余裕で受ける量が上回ってるし」
ん、休憩室のテレビが勝手に点いた?
『ルキスラ・オルトジャバウォックさん。度重なる転生者の方々からのクレームを受け協議した結果、アナタを女神から追放する事となりました』
テレビ画面に映っているパペットの言っている意味が理解できず、固まっていた私の足元に突然落とし穴が生じる。下界へのワームホールだ。
「はぁ? ちょっと待てし――」
全身がワームホールへと吸い込まれる感覚。
私、終わったわ。
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