第21話 紫電と桜

「高視のおん!!」


 魔法を発動。

 肌にピリピリとした感覚がよぎると同時に自分の真上から視線。

 パッと上を見上げてもそこには何もなく違和感を感じてしまう。


「あぁ……」


 あかりが力尽きるかのようにふらつき、倒れ……る寸前でフィリスが抱き止める。


「大丈夫ですの!?」

「はい……。魔力量を見誤ってしまって、情報量が……」

「情報量?」

「それは、あとで、、説明します。と、冬也くん!」


 息が切れているあかり。

 フィリスに抱かれたまま俺を呼ぶ。

 どこかつらそうだ。


「ここから西に少し開けた場所があるよ!」

「なっ……」


 さっきの魔法か!

 

「分かった! 行くぞ! 恵音、結衣!」

「…………(コクン)」

「了解!」


 魔獣たちに隙を見せないように少しずつ西に向かう。


「アカリ、動けますか?」

「……ちょっと厳しいですね……えへへ……」

「分かりました。少し失礼しますね。よいしょっと」


 情けなく笑うあかりをフィリスがお姫様抱っこ。


「お姫さまからのお姫様抱っこ……」

「何言ってるんですの……、クロード! 私たちも行きますわよ!!」

「OK!」


□■□■□■□■□■□■□■□■□■□■□■□


「見えた!」


 木々のない開けた場所に出る。

 邪魔するものは何もない。

 6人全員無事だ。


「せいっ!」


 巨大な魔獣に剣を振るう。

 相変わらず硬い……。

 だが!


「それが連続して向かってきたらどうかな!?」

「グヲォォォ!!!」

 

 連続して剣を振るう。

 よし!

 思い切り腕が振れる分戦いやすい!

 恵音は!?


 ズバッ!


 魔獣が真っ二つになって倒れる。

 あの親玉の魔獣は倒せていないものの他の魔獣をどんどん両断していく。

 これなら!


「恵音! ここなら思いっきりやれる! 行くぞ!」

「うん!」


 恵音が戦闘中に初めて声を出す。

 この一撃で決める!


「ふぅ……」


 両手の剣を後ろに構えて精神を研ぎ澄ます。

 対して恵音は1度その長い日本刀を鞘に戻す。

 全身に魔力を集中……集中……。


「グルギャァ!!!」


 野生の勘とでもいうのか命の危機を感じた魔獣が俺たち目掛けて突進。

 今だ!!!



「紫電・稲妻!!!」「総草そうそう・桜吹雪!!!」


 

 魔獣目掛けて魔法、否、剣技を発動。

 

 バチバチッ!!


 剣が魔獣に触れた瞬間、体に紫の稲妻が走る。

 一つ、二つ、三つ。

 同時に八つ!

 

「!!!!!!!!」


 轟音。魔獣の体は黒く焦げる。体が粉々になる。


 ふわり


 夜の世界に桜が舞う。

 その花びらは紫の稲妻に照らされ黒の世界を鮮やかな桜色に染める。

 恵音が抜刀し、前身しながら大きく2回転。あの巨大な魔獣を両断。

 遅れて両断された体が切り刻まれた。

 まるで、花びらに触れた瞬間に斬られたかのように。


 バタッ。


 原型を留めていない2匹の魔獣が倒れた。

 俺たちは戦闘に勝利した。


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