異剣使いと虹雪姫
シュシュ・トウカ
第1話 プロローグ
「あの子たちはあそこで無事にやっていけますでしょうか……」
薄暗い部屋の中で私は呟く。
「大丈夫よ、ゆめ。誰もそう簡単にあそこで過ごしていけるなんて考えてないわ」
私の呟きを聞いていたのか、目の前を座っている女性が言葉を返した。
「それは大丈夫とは言わないですよ……」
「そう?」
「そうです!」
私は咄嗟に言葉を返す。が、目の前にいるこの女性が単純な理由だけで後輩たちを危険な場所送らないことをに知っているため無理に止めることが出来ない。
まあ、全力を出しても止めることは出来ないが。
「それで? あの子たちをあそこに送り込んだのはどんな意図があるんですか?」
「それはもう、あの子たちの成長にはあそこがぴったりだと思ったからよ」
それはごもっともだ。
確かにあの場所は2人の成長に大きな影響を与えるだろう。だが、それ以上にリスクが高すぎるのだ。
それがどうしても気になってしまう。
「優子さん。何か隠してますね……」
「なんのことかしら?」
目の前の女性、優子さんは涼しげに言葉を返す。
これはたぶん答えてくれないだろう。
「はあ……。お茶を入れてきます……」
1度引くことにした。
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ゆめが部屋を出たことを確認。
壁に架かっている 鈴海島 の地図を見る。
ゆめはあの二人を鈴海島に送り込んだことに裏があると予想してるらしい。
はっきり言おう。正解だ。他にも理由はある。
例えば鈴海学園。鈴海島には世界に7つしかない魔法学園のひとつ、鈴海学園がある。
そしてあの二人は4月から高校生だ。
これだけで理由は分かるだろう。
私はそう聞かされているが聞かされていないことがいくつかあるだろう。
ふざけるなと言ってやりたい。
私の大事な後輩なのだ。危険な思いはさせたくない。
私自身、あの島の危険性は身をもって体感している。
その上、あの島にはまだ私が知らないことも山ほどあるのに。
だからこそ心配で心配でたまらないのだ。
そんなことを考えていたからか、
「気をつけて、冬也、結衣……」
そんな言葉がこぼれてしまった。
優子さんの言葉を私は聞き逃さなかった。
心配してることがちゃんと分かってほっとし、笑みがこぼれる。
まあ、長い付き合いだから心配してることくらい分かっている。
なんなら、私に悟らせないようにしているのも気づいているのだ。
言わないですけどね。
だからこそ私はこう呟く。
「ほんとっ優子さんらしいですね」
今日のお茶はダージリンのミルクティー。もちろんホット。
それを持って優しい優しい上司のもとに私は向かうのだった。
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