金魚救い

味噌煮込み白木

第1話

机の上に置かれた携帯がブーブーとけたたましく震える。今日何回目だろうか。


多分、通知の内容は彼氏からの電話だろう。


はぁ、っとワザと大きなため息をついた。それが自室に響き渡った。


今の彼氏に恋愛感情はない。

元より、話してて楽しいからという理由だけで告白を承諾した関係。相手の短所が見える度に冷めてく気持ちは2ヶ月前から地の底を這っていた。


別れようと何度も思った。口に出したこともあった。それっぽい事をLINEで送った事もある。

その度に「嫌だ」「無理」「死ぬ」といった脅迫まがいの反応をされ、惰性で今日まで恋人ごっこを続けている。


携帯のバイブレーションが止む。


今日は昼まで寝ていた事にしよう。


真夏の朝。少しでも音が聞こえないように布団の中に潜った。

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