その日、ふたつある学校への行き道からなぜ踏切側を選んだのか。いたずら好きの友人・澪はなぜ「かいぶつ」の話をしたのか。主人公の少女・仁美は、日常にある些細な“なぜ”に気づくことはなかった。それが実際に現れ、災いをもたらすまでは……。日常から一転、出現した恐怖へたどり着くまでの距離と緊迫感が、とても上手に描かれた物語でした。作品紹介で、もうひとりの関連人物の語りがあります。ユーモラスな彼のその後を思うと、悲しさでいたたまれない気持ちになりました。