末端恐怖症

如月冬樹ーきさらぎふゆきー

末端恐怖症

この物語はフィクションで実際の人物や団体とは何の関係も無く、この連続事件の記録の中の真相に気付いた読者様の命が狙われるということは一切ありません。また、仕掛けはもうすでにこの段階から動き始めていますので、気をつけてくださいね。



「多分犯人は同一人物でしょう」


野間のま探偵の相方の高橋は各々の事件の詳細が記されたノートを見てそう言った。彼らはこの街で起こった二つの殺人事件の関連性を調べている。最初の被害者は大学生で渡辺美穂わたなべみほといった。この近くのK大学に通っていたが、いつもの様に夜遅くに帰宅したところ、途中で何者かによって殺害され、後日発見された。


「しかし、二人目の被害者と彼女に何か関係があるのかね」


高橋、から受け取ったノートを見てもそれらしき関係性は見えてこない。


眉間みけんしわを寄せながら、野間探偵は呟いた。二人目の被害者は三村亮太みむらりょうたといった。明らかに二人に面識はなさそうだ。というのも渡辺は大学生であるのに対して、三村はレストランの店長だからだ。年齢も二十一歳と四十六歳とで二十五歳も離れている。ただ、一つ共通点として挙げられるのは、家が近いことであった。


「確信はありませんが、被害者の傷の形状が似ていることから、同じ凶器で二人は斬られたのではないかと推測されます」


彼女、高橋は淡々と警察から得た情報を野間に伝えた。また、二人とも同じ日に殺されたという事や、その殺しの順番までわかったのでそれも報告した。まず犯人は渡辺を殺し、そこから少し離れたところにある彼の自宅の前で三村を殺した。というのも

検死の結果から、三村は渡辺が死んだ後一時間以内に殺されたことがわかっていた。


「調べた人物の中で怪しいやつはいたか」


高橋はそう言われて残念そうに首を振った。


軒並のきなみ当てが外れました。怪しいと思った人物には全てアリバイがあります。今は次の手がかりを探しています。もう少し遺体の発見が早ければ良かったのですが」


「ギリギリのところで逃げられたか……そういえば高橋、誰かに追われている時、人は左右どちらに逃げると思うかい。」


生憎あいにく見当も付きませんが、私だったら左かもしれません」


何故なぜそう思ったんだい」


「大した理由ではありませんが、何か隠されていそうな気がするからですかね」



余計なことかもしれませんが、段落の一番最初を下げていないのはわざとです。

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