術回力1
街に向かう道中
「よっ」
アキベヤは探索帰りのハサミと出会った
「久しぶりですねハサミさん」
「兄ちゃんも相変わらず変なフード被ってるな!」
「あはは...でもこのフード意外に周りがよく見えるんですよ」
アキベヤとハサミ。
二人はアキベヤが倒れた日以来
何度か街で顔を見合わせることがあり。
今では会うたびに、その日の出来事を話すような
仲になっていた。
「今日の探索どうでした?」
アキベヤの問いに対して。ハサミはうげぇと言いたげな表情を浮かべ
「今日は大変だったぜ。なんせアレウスの迷宮まで行ったのに魔獣一匹いやしない。」
ハサミは挙句っと
「しまいにはヤモリの兄貴がキレて一人で迷宮の奥まで行っちまうしよ。」
溜息を吐くように言った
「うわぁ...」
アキベヤは同情した心なしかハサミがいつもより
小さく見える。
「大変だったんですね。でも迷宮に魔獣が一匹もいないなんてあり得るんですか?」
「んにゃ魔獣が一匹も迷宮に居ないなんて普通は
ありえねぇよ」
ハサミは少し考えるように暫く俯いたあと
「ま、」
アキベヤの方にぐんと向き直り
「新鮮で面白かったけどな」
ニカッと笑った。
アキベヤはその表情をみて、少し微笑む
「そんなもんなんですか?」
「そんなもんだぜ、所で今日アキベヤのほうは?」
「こっちはゴブリン狩りをやりました
ボロボロで一匹しか狩れませんでしたけど」
アキベヤの肩をすくめた言葉にハサミは目を丸くして笑いだした
「アハッハッ、、いやーゴブリン一匹狩るのにぼろぼろになるって術回力使わなかったのかよ!」
ヒーヒーと笑いを堪えるのに必死なハサミを横目にアキベヤはバツ悪そうに髪を掻きむしった
「術回力は使いましたよ」
術回力。
アキベヤはその単語を聞くたびに、RADとの苦い修行の日々を思い出す
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