第28話 冒険者として初依頼

 僕はダンジョンについて、石板で6階層へ転移する。


 ゴブリンリーダーは、5階層のボスだが、8階層に行けば普通に出てくるのだ。


 ゴブリンリーダーの魔物石

 10個

 報酬 1000エーン


 この依頼の為と、剛力の魔物石の為に行くのだ。僕は剛力Lv3のキーホルダーを使い、地図を見ながらダンジョンを爆走する。


 8階層まで30分程で着いた。道中出てきたモンスターは、倒している。


 10階層に向かいながら、歩いていく。8階層と9階層は出てきたゴブリンリーダーを倒して行くが、10階層に着いたら、うろうろと探しながらゴブリンリーダーを倒していく。


 一度、10階層のボス部屋に行き、また戻ってゴブリンリーダーを探す。


 ゴブリンリーダーを倒していると、要らないゴブリンリーダーの魔物石が50個を超えた。剛力の魔物石は、30個位だ。


「そろそろ帰ろうかな。」


 僕は、10階層のボス部屋に入る。


 中にサンダーウルフがいたが、鉄の盾のキーホルダーを発動させると、盾でガードしぶつかっただけで倒せた。


 ドロップアイテムと、魔物石を拾い。11階層の石板で外に出る。



 ギルドに戻り、依頼達成のため、ギルドカードを出してゴブリンリーダーの魔物石10個出す。


「はい!依頼達成ですね。」

 受付の女性から報酬の1000エーンを受けとる。


「まだゴブリンリーダーの魔物石がありますが、依頼ありますか?」

 僕が聞くと、また同じゴブリンリーダーの魔物石集めの依頼があった。市販よりも、ギルドで依頼を出して安く買う為に依頼を出したみたいだ。


 僕は残り40個も依頼達成としてもらい、5回依頼達成となった。合計5000エーンもらった。

 ゴブリンリーダーの魔物石の買い取りは、200エーンだから損をしたが、依頼達成を増やしたいので、気にしない。


 僕は、いらない魔物石を売るために、魔物石買い取りの店に向かう。

 全て売ると、2万エーンになった。


 やることもないので、家に向かう。途中で面白いキーホルダーがあったら購入していく。形状記憶のスキルがあるので、作れる種類を増やすのだ。四角いのから丸や三角や、果物や野菜の形のキーホルダーなど様々購入している。


 家に帰り、のんびりと過ごす。父さんが帰って来たら、使ったキーホルダーの効果時間を回復させる。


 夕飯を食べ就寝した。


 翌朝7時。


「おはようございます。」

 また騎士隊長のイドリスさん達が、家の前で待っていた。


 僕は朝食を済ませ、イドリスさんに挨拶をする。またサーシャさんが呼んでいるみたいだ。


 屋敷まで行き、昨日と同じ部屋にサーシャさんが待っていた。


「エルジュさん、おはようございます。」

 サーシャさんがはつらつとした笑顔で、挨拶をしてくれる。僕も笑顔で挨拶し、今日の予定を聞いてみる。


「お話がしたいのです!」


 なるほど。喜んで!


 僕は、冒険者登録をしたことと、一人でダンジョンに向かった事を話した。


 サーシャさんは、楽しそうに聞いていたが、イドリスさん達騎士団とメイドや執事は、3等級冒険者を蹴り飛ばしたことや、10階層ボスを一人で倒したと聞いたら、唖然としていた。


 なるほど。これは普通では無いのか。あまりにもサーシャさんが喜んでくれるから、調子に乗ってしまったな。


「あと帰りにいろんなキーホルダーを買ったんだ。」

 僕は、テーブルに昨日買ったキーホルダーを、ウエストポーチから出して並べていく。


 野菜と果物のキーホルダーだ。色までついて、キーホルダーにしては、良い出来だと思う。元々は少し歪だったが、形状記憶のスキルで野菜と果物をイメージして触れると、丸みをおびて綺麗になった。


「凄いです!これをエルジュさんが作ったのですか?」


「いや、もともと売っていたキーホルダーを修正して、こんな感じになったんだよ。」

 僕も同じ形ならできるだろうが、着色までは出来ないだろう。


「私のことも作れますか?」


 ん?どう言う事だ?


「私の人形を作れますか?」


「なるほど。面白そうだな。」

 僕は、リュックサックから鉄の塊を出す。ゴブリンリーダーの大剣を溶かした物だ。


 サーシャさんをじっくりと見る。サーシャさんも立ち上がり、くるりと一回転する。着ているワンピースがふわりと広がる。


「いきます。」

 鉄の塊に触れてサーシャさんをイメージする。


 鉄の塊がぼこぼこと形を変えて、人形になっていく。


 5分程、魔力を込めると、サーシャさんの人形が出来上がった。高さ10㎝程の人形だ。


「ふぅ〜。出来ました。」

 見た目は、ちゃんとサーシャさんだ。ただくすんだ銀色だが。素材が余りよくなかったな。


「少し借りても良いですか?」

 メイドの一人が言うと、サーシャさんが許可をだす。メイドは、持ってきたタオルで人形を拭き始めた。すると、たちまち輝きが増し、シルバーの食器に劣らない程の輝きを放っている。


 メイドさんのスキルだろうな。


 メイドさんは、サーシャさんに人形を渡した。


「エルジュさん、凄いです!私の人形です!」

 ずいぶん喜んでくれてるな。僕も嬉しいよ。


 サーシャさんは、隅々まで人形を見ている。いやいや、逆さまにしてもワンピースの中身は知りませんから、僕に聞かないで下さい。


「どうぞプレゼントしますよ。」

 僕は人形をプレゼントする。


「ありがとうございます!」

 サーシャさんかテーブルにサーシャ人形を立たせている。ちゃんと立てたね。よかった。


 でもこれキーホルダーか?僕は疑問に思ったが、いろんなキーホルダーがあるからね。気にしない気にしない。


「そうだ!私もお礼を用意しましょう!」

 サーシャさんが部屋を出て行った。


 すぐにサーシャさんは、戻ってきた。サフマン様も連れて。


「よう、エルジュ君。調子はどうだい。」


「はい。変わりなく、元気にしてます。」

 僕は、ガチガチに緊張している。


「ははは!そんなかしこまらないでくれ。サーシャの友達なんだからな。ほう?これがサーシャの人形が、良くできているな。」

 サフマン様は、ソファーに座り、サーシャさんの人形を朗らかに見ている。


「それで、サーシャがお礼をしたいとの事だな。私もサーシャの眼を治したお礼を持ってきたからな。」

 執事に指示を出すと、白い袋から杖と石3つ出して、テーブルに置いた。袋もテーブルに置いてある。


「まずこの石だが白い石が回復の魔鉱石だ。次に銀色の魔鉱石は、光魔法の魔鉱石だ。最後に水色の石は、氷魔法の魔鉱石だ。」


 魔鉱石

 効果 回復Lv1

 ヒール魔法が使える。軽度の傷が治る。


 魔鉱石

 効果 光魔法Lv1

 光魔法を発動させる。


 魔鉱石

 効果 氷魔法Lv1

 氷魔法を発動させる。


 素材鑑定するとこんな情報だった。効果時間がないのは、僕のスキルではなく、使用者の魔力で発動するからだろう。素材としてぜひ使ってみたい!


「次にこの杖だが、紫色の魔鉱石は、魔力回復と呼ばれる魔鉱石なんだが、発動するのに魔力を使うから、自分には使えないのだ。回復以上の魔力をこの杖に使っては、意味がないからのう。」

 サフマン様は、先端に紫色の魔鉱石がついた、鉄製の杖を僕に渡す。


 魔鉱石

 効果 魔力回復Lv1

 魔力を回復する。


 鉄製の杖

 品質 低

 効果 なし


 魔鉱石は、欲しいが杖は、ただの鉄の棒だな。


「最後にこの魔法袋だ。この部屋程の荷物なら入るからな。」

 サフマン様は、オマケのように何気なく話す。


 いやいや。その魔法袋が一番すごいでしょ!


 サフマン様が来たことによって騎士だけで10人、執事やメイドが8人いても、広々とした部屋程の容量があるなら最高じゃないか!


 軽く1000万エーンは、越えるだろう。


 サフマン様は、僕にお礼と言って渡してくる。断るのは、失礼なので受けとる。とても嬉しい。


「次にサーシャの人形のお礼だ。」


 サフマン様が白い板を渡してくる。もう一つサーシャさんが、同じ白い板を持っている。


「これは?」

 僕は、サフマン様に聞く。


「この魔法道具は、伝言板と呼ばれれ、このように指でなぞれば、こちらにも文字が浮かぶのだ。」

 僕の伝言板に書いた文字が、サーシャさんの伝言板にも同じ文字が浮かぶ。伝言板の裏に魔物石を入れると、機能する。


「これならいつでも連絡ができるぞ。サーシャの文字の練習相手になってくれ。」

 サフマン様に渡されては、拒否できない。いや、拒否する理由も無いな。


「ありがとうございます。サーシャさんもよろしいですか?」


 サーシャさんを見ると、楽しそうに伝言板に文字や絵を書いている。

 綺麗な字を書いているが、これは何の絵だ?

 犬か?いや猫か?え!じゃがも!わかるか!


「サーシャも楽しそうにしているからな。よろしく頼むよ。」

 サフマン様は、部屋を出て行った。


 僕とサーシャさんは、伝言板に文字を書いて遊んでいると、昼食が用意され食べる。


 昼食を食べ終わると、サーシャさんが勉強の時間となったので、僕は、帰ることにする。


 そうだ!あれをあげよう!


 僕は、リュックサックから一つのネックレスを取り出す。


 シルバーのネックレスだが、首の鉄部分の中に剛力Lv3の魔鉱石が5つ入っている。胸元には、毒無効Lv3の光沢のある黒い魔鉱石が輝いている。


「サーシャさん。これをあなたに上げます。良かったら着けて下さい。」

 僕は、ネックレスをサーシャさんに渡す。サーシャさんは、喜んで着けてくれた。


 僕は、イドリスさん達と共に家に帰る。ネックレスの効果は、教えていないが、大丈夫だろうか。


 家に帰り、伝言板を貰ったと母さんに伝えていると、サーシャさんが勉強しているのであろう魔法について文字が浮かんでいる。


 僕は、魔法についてまったくしらないな。少しは勉強しないとな。

 僕は、伝言板をリュックサックにしまい、本屋に向かう。魔法について、書かれた本を買って帰る。2万エーンもしたが、頑張れば稼げるので良いや。


 僕は、ダンジョンに向かい10階層へ向かって行く。


 ゴブリンリーダーなどのモンスターを魔法で倒していく。入門魔法のファイアで倒していく。


 魔法本によれば、ファイアは、火魔法の入門魔法と呼ばれていた。僕は、ずっと入門魔法を使っていたのか。初級魔法は、ファイアボールと呼ばれていた。火の玉を魔法で発射する魔法だ。火魔法の形を変えて発射すればいいのだ。


 入門魔法は、基礎。初級魔法は、形を変える。中級魔法は、魔法を長時間維持する魔法だ。ファイアウォールと呼ばれる、火の壁を維持出来たら、中級魔法だ。上級魔法は、複数の変化と長時間の維持をして、操る魔法だ。龍の形に火魔法を使い操り、敵に当てるファイアドラゴンアタックがある。


 炎魔法で火魔法を使っている。


 僕は、ゴブリンリーダーにファイアボールを使って倒す。直線的に火の玉が向かって直撃する。うん余裕だな。

 ゴブリンリーダーの前に、炎の壁を作り出す。ゴブリンリーダーが向かって来ないので、壁をゴブリンリーダーに向かって飛ばすと、ゴブリンリーダーは、燃えて消えてしまった。


 次に炎をゴブリンの見た目にして、ゴブリンリーダーに向かわせる。炎のゴブリンがぱたぱたと走って、ゴブリンリーダーにぶつかると、ゴブリンリーダーは、炎上して絶命した。


 うん。出来そうだな。


 魔法の練習も終わり、魔力が減ってきたので、家に帰る。




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