第25話 フォルブルク家 褒美

 サーシャ様が泣き止み、サフマン様が話だす。


「サーシャの眼を鑑定してみてくれ。」

 屋敷の鑑定師がサーシャ様の眼を鑑定する。


 断罪眼

 嘘を見破り、正しい判断を下す。


 鑑定師が答える。断罪眼ってなんだ?僕が眼を鑑定するが、何も見えなくなった。素材として見れないのだろう。それよりも、あの鑑定師、僕の素材鑑定眼も見れるのかな、注意しとこ。


「なるほど。サーシャの天職に関係するだろうな。」

 サーシャ様の天職は、【断罪人】と呼ばれる、犯罪者などの尋問に有効な天職だ。嘘を見破るスキルと身体能力も上がる能力もある、万能型の一般職だ。

 当時、この断罪眼が邪魔になる人が、強奪呪いの義眼を使ったのだろう。でも天職を授かる前に使われたのはなぜだ?


「とにかく!サーシャは無事に眼が治ったのだ!ありがとう、エルジュよ。」

 サフマン様がお礼を言う。妻のアリス様や長男長女もお礼を言ってくれた。僕は気にしないでくださいと答えていく。


「それにしてもこの石は、なんなんだ?」

 サフマン様は、サーシャ様からキーホルダーを受け取り眺めている。鑑定師に眼を向けると鑑定師が答える。


「旦那様、この石は魔鉱石です。おそらく再生の魔鉱石でしょう。」

 鑑定師の鑑定眼では、効果までは分からなかったらしい。


「ほう?魔鉱石か。再生ともなれば高価な物だ。お礼として、3億エーンをエルジュに渡そう!」

 サフマン様が執事に指示を出している。僕はすぐに拒否する。


「いえいえ、これは父さんがダンジョンで獲得した物です。なので僕ではなく、父にお願いします。」

 僕の天職の事だとばれるのは、面倒になる。父さんに任せよう。

 父さんは、俺か?と困惑している。


「そうか。エルジュの父カイルに褒美を与える!」

 サフマン様が宣言するが、サーシャ様がすぐに意見する。


「お父様。エルジュ様は、嘘をついています。きっとエルジュ様が自らの能力で、私を治してくれました。これは絶対です!」

 サーシャ様が立ち上がり、サフマン様をじっと見る。


 このお嬢様、断罪スキルを使いやがったな。


 サーシャ様の眼に、魔力が集まり、僕と父さんを見ているから、僕の嘘と、父さんの動揺を読み取ったのか。

 何そのスキル!このお嬢様の前じゃ、誤魔化しが効かないのか!


「そうか、サーシャ!初めてスキルを使ったのか。ところでエルジュ。私に嘘を付くとはどう言うことだ?」

 サフマン様は笑顔だが、権利バリバリに使ってやるぞ!とばりに聞いてくる。

 貴族様に嘘をついても罪にならない。それは、誤魔化しきればだが。どうしようか。


「エルジュの天職は、アクセサリーショップなのだろ?普通の一般職だが、サーシャの眼を治す程のスキルがあるのか。そうなると、一般職だから力が足りないのだろう。エルジュを捕らえる悪人がいてもおかしくはないのか。」

 サフマン様が、考えを話している。


「まだ天職を授かって日が浅いので、これから成長するでしょう。なので、今はサーシャ様の眼が治ったと喜ぶだけで、大丈夫です。お礼は、僕の身の丈にあったものでお願いします。」

 いきなり3億エーンもあったら、遊んでくらせるが、誰に狙われるか分からないから、安心して生活出来なくなるよ。


「そうか。なら魔鉱石を褒美として渡そう!珍しい魔鉱石をエルジュにやるから楽しみにしておれ!」


 魔鉱石か。僕のスキルで作る魔鉱石ではなく、ダンジョンから取れた魔鉱石は、一度もみたことがないので、ありがたい。


 僕は、ありがとうございます、と頭を下げる。


「こちらこそ。ありがとう!いつでも遊びに来てくれよ。エルジュには、聞きたい事が多いからな。」

 サフマン様達は、笑顔で話してくれるが、僕のスキルを知りたい欲求が全面にでている。他の屋敷の人達も僕のスキルを気にした様に見ているが、今は話さないよ。



 話も終わり、父さんと母さんと共に家路に向かう。帰りも騎士達が家まで付いてきた。


 家に着き、騎士達にお礼を良い家に入ろうとすると、騎士の人に話かけられた。


「サーシャ様から伝言です。エルジュ様が良ければ、ぜひお話ししてみたいそうです。よろしいですか?」


 サーシャ様が、僕と話をしたい?

 よろしいですか?は、拒否できないだろうな。


「はい。喜んで。」

 僕は、笑顔で答える。可愛い子なので、断る理由もないが、ちょっと不安だな。


「了解しました。サーシャ様には伝えておきます。私達がお迎えに来ますので、用事がなければ一緒に屋敷までお連れします。」

 それではと、騎士達は帰って行った。


 まぁ、そんなに直ぐには来ないだろう。明日は鉄の盾を改造したいから、のんびり家で過ごそうかな。


 家に入り、のんびりと過ごし、眠りにつく。



 翌朝。


「おはようございます。」

 朝の7時に、家の前に騎士達が並んで待っていた。


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