第10話 フライパンの上で実験

 家に帰って来ると母がテーブルに昼食を並べて待っていた。


「おかえり〜」と笑顔で言ってくれたが、父を見る眼は「もう午後1時よ?遅くない?」と言っているように見える。


 うん。僕のせいだね。


 昼食を美味しく頂き、自室へ戻る。父は仕事をしに、ダンジョンへまた向かって行った。腕力強化と脚力強化の魔鉱石のネックレスと言うにはお粗末な、紐に魔鉱石を通したネックレスを渡しておいた。


 よし!実験しよ。


 母に火を使うと言ったら、「キッチンでフライパンの上でやりなさい」と言われたため、キッチンに移動し魔物石を並べる。母も興味深く離れてみている。


 ゴブリンの魔物石

 レベル1

 腕力強化Lv1


 この魔物石を10個用意した。一つをフライパンに乗せ、素材分解の炎魔法を使う。

 声に出さなくても魔法は、使えるのか。


 フライパンの上に緑色の液体ができた。魔法を止めると、固まり平べったい石ができた。フライパン一面が固まったような石だ。


 魔鉱石

 効果 腕力強化Lv1

 効果時間 10分


 うん。できたな。魔鉱石を手に持ち魔法を使い小さい石にする。もう一つ同じ様に、魔鉱石をつくる。手に2つの魔鉱石ができた。


 よし!これを合成してみよう!


 僕のスキルに素材合成があるから、多分合成できるはず。


 フライパンの上に魔鉱石を2つ乗せ炎魔法を使う。2つの魔鉱石は、液体になり広がっていく。魔法を止めると2つは一つにまとまって固まっていた。


 魔鉱石

 効果 腕力強化Lv2

 効果時間 10分


「おお!できた!」

 思わず声を出す。


「何?急にどうしたの?」

 母はビックリしたようだ。


 魔鉱石を手に持ち見せる。

「これが魔鉱石になって元はレベル1だったのが、レベル2になったんだ!」

 僕は思ったよりも早口で話した見たいだ。


「魔鉱石って高いやつでしょ?レベル2なら20万エーンもするのよ。」

 魔鉱石は、市販されている。効果によるが、レベル1なら3万エーン以上もするのだ。


 魔鉱石が自分で作れるって大丈夫なのか?


「これが僕の【アクセサリーショップ】のスキルなんだ。この魔鉱石は、売れないよ。普通の魔鉱石と違うみたいだし。」

 ダンジョンから採れる魔鉱石は、自分の魔力を使って魔法が使える仕組みらしい。僕が作る魔鉱石は、アクセサリーにしないと効果が発揮されないのだ。


 これが売れたら億万長者になれるのに。


「ならダンジョンで働く冒険者ギルドなら、必要な人がいっぱいいるだろうね」


 そうだね。このアクセサリーがあれば安全性が上がるだろう。


 よし!もっと実験しよう!


  • Twitterで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る