一般職アクセサリーショップが万能すぎるせいで、貴族のお嬢様が嫁いできた!〜勇者や賢者なんていりません。アクセサリーを一つ下さい〜

茄子の皮

天職アクセサリーショップ

第1話 天職の儀式

 この世界には天職がある。

 人が十歳になると、教会で祈りを捧げると天職を授かることができるのだ。


 英雄と呼ばれる人は、全て英雄職と呼ばれる天職を授かり、一般の天職とは何十倍もの戦力を有する事ができるのだ。

 たとえ天職とは違う職業についたとしても、天職持ちの人とは成長率が段違いになっているため、人は天職を職業とする人が普通なのだ。



 さて、ここハリソンの街に、今年十歳になる男の子がいる。


「大丈夫か?エルジュ。」


「大丈夫。ちょっと心配なだけだよ。」


 エルジュと呼ばれる短髪で黒髪の男の子。隣を歩く父親のカイルがからかいながら歩いている。

 エルジュは、自分が英雄職だったらどうしようと不安で昨夜は、なかなか眠ることができなかったのだ。


 父カイルは、冒険者の職についており、天職【戦士】をもつ2等級冒険者だ。


「エルジュが戦闘職だったらな〜、一緒にダンジョンに行ったり楽しいだろうな〜。」

 カイルは、楽しそうに話す。


 戦闘職。カイルの様な【戦士】は戦闘職と呼ばれ、街にあるダンジョンで稼ぐのに有利とされている。

 他に一般職の【商人】や生産職の【職人】などがある。英雄職として有名なのが【勇者】や【賢者】が有名だ。【勇者】は、【戦士】の最上位で剣術の最高成長を誇り、【賢者】に劣るが【魔術師】以上の魔法を使うことができる天職だ。【賢者】は【勇者】以上の魔法を使え、希少な回復魔法まで使う事ができる天職だ。子供の夢の天職トップ2だ。


「僕は、一般の天職でいいよ。」

 エルジュは、冒険者の父の影響で冒険者になりたいとは思っていない。毎日安全に帰ってくるとは限らない職業のため、ぼろぼろになった父を何度も見ているのだ。何度生死をさ迷ったかわからないのだ。


「それは神様が決めることだからな。どんな天職でも不便な事はないだろうさ。」


 確かにどんな天職でも、必要な場面はある。稼げる天職と稼げない天職はあるが。


「よし着いたな。」


 二人は教会に到着した。

 中に入ると、5人の親子が長椅子に座っていた。毎週一度の天職の儀式に参加する親子だ。

 エルジュ達も空いている椅子に腰かける。


「今回は、6人の子供達が天職の儀式に参加となります。」


 神父が話だした。


「天職は、神様からの啓示であるためいかなる不満があろうと変更は、できません。あなた達の人生を有意義なものとなることでしょう。」

「皆様、両手を胸の前で合わせて下さい。」


 エルジュは、両手を胸の前で合わせる。他の子供達も同じ様に合わせている。


「全知全能なる神よ。新たな天職に目覚める6人にご加護があることをここに願います。」

 神父が話終わると、子供達が光だす。


 エルジュは、白色に光る。他の子供達は、赤く光る男の子二人と青く光る女の子二人、白く光る女の子だ。


「赤く光るのが戦闘職。青く光るのが生産職、白く光るのが一般職です。金色が上級職と呼ばれてます。」


 僕は白色だから一般職か。


「まず赤く光った二人前に。」


 二人の男の子が神父の前に出る。神父が男の子の頭に手をかざす。

「君は、【騎士】の天職を授かりました。」

 体がエルジュより一回り大きい男の子は、【騎士】の天職を授かったようだ。

「君は、【魔法使い】の天職を授かりました。」

 もう一人の男の子は、【魔法使い】の天職みたいだ。どちらも戦闘職としては普通の天職だ。


 男の子達は、嬉しそうに親の元に戻り座る。


 次に青く光った女の子二人が前にでる。

【料理人】と【家具職人】だ。【料理人】はどこの食堂でも求められる天職で【家具職人】は、家具製造に特化した職だ。


 女の子達は、落ち込む様子無く笑顔で親の元に戻っていく。


「次に白く光った二人、前に。」

 エルジュは立ち上がり前に進む。隣にエルジュより頭一つ小さい綺麗な金髪の少女が並ぶ。


「君は、【アクセサリーショップ】だ。」

 エルジュは宣言される。

 アクセサリーショップ?宝石商ではなく。装飾品を扱う店か?

 エルジュは、名前を聞いただけでは理解できない。父カイルも見るも首をかしげている。


「君は、【回復術師】だ。」

隣の女の子は、【回復術師】か。

【回復術師】怪我を治したり、病気を治しす能力が使える一般職としては当たりの職業だ。


 二人は親の元に戻り座る。


「これにて天職の儀式を終わります。今一度手を合わせ神に祈りを捧げてください。」


 6人の親子は手を合わせ神に祈りを捧げる。



「ありがとうございます。これにて終わりです。皆様に神のご加護がありますように。」



 神父が儀式を閉めるとエルジュの目の前が一変した。





  • Twitterで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る