宝くじと株で1000億円手に入れた、弟に殺されかけた、廃神社を買って隠れた、女神に異世界に行かされた。

克全

第1話:宝くじと株

 俺は悪事などできない小心者だが、とても欲深いところがある。

 それは宝くじの購入方法にも表れていた。

 ロトでいつも買っている数字が、たまたま買わなかった日に当選するのが怖くて、二十歳から五十四歳まで一度も忘れずに買い続けるほど臆病だ。

 同時にキャリーオーバーした分も総取りしたくて、同じ数字を何口も買ってしまうとても欲深い性格なのだ。


(当たった、本当に当たっちまった!)


 俺はウェブでロトセブンの当選番号を確認して心臓が止まりそうになった。

 前回35億3175万6965円もキャリーオーバーしていたから、次は42億円前後になる事が分かったいた。

 だからいつもの決まった数字を5口買っていた。

 分散させて確率をあげるよりは、同じ数字を買って総取り狙ったのだ。

 そのやり方は、一度買った数字が来た場合が怖くて、徐々に買う数字が増えてしまった過去の反省からきている。


 その結果が、一等が5口当選で41億7193万7610円、2等が10口当選で3807万6000円、3等が15口当選で841万6500円だった。

 総額が42億を超える当選額で、これで夢をかなえる事ができると思った。

 小説を書いて書籍化し、国立国会図書館に献本したい。

 競走馬を購入してウィナーズサークルで記念写真をとりたい。

 そんな欲望、夢だけなら42億でかなえられるが、だが理想としている養老馬牧場を設立維持していくには、もう少し資金が欲しかったので株を購入することにした。


 2億残しておけば食べる事と献本の夢は叶えられる。

 40億を保証金にして信用取引株で丁半博打をやろうと決意した。

 以前独学で株をして1000万円を損した俺が、今更40億も投入する気になったのは、運が向いている事と隣家の親父さんに頭を下げる決断をしたからだ。

 隣家の親父さんは元大阪証券取引所の職員で、場立ちの人達とも仲がよかった。

 その親父さんに、よく仕手に使われる現在底値の株を教えてもらった。


 3・3倍の信用取引の手続きは以前にしていたから、俺個人で132億の売買資金がある。

 玉集めを始めて十分に仕込みが終わったら、玉集めで買い集めた玉(株)をわざと売り注文として売り板に並べ、それを自分で買上げることで他の投資家に買われることを防ぎつつ、効果的に投資家の注目を集め、仕手が始まった事を周囲に知らせた。

 元々が底値だったことで安心して勝負をかける事ができた。


 隣の親父さんが昔の仲間に声をかけてくれたお陰なのか、それとも同じ株で仕手を仕掛けようと準備していた仕手筋がいたのか、仕込んでいた株が一気に暴騰した。

 俺は132億の信用取引枠を最大限使ってつり上げを行った後で、信用買いを清算して利益確定を行い、保証金の額を増やした。

 前日のストップ高で株価が5倍になった時には、保証金が400億弱となっていたが、その内の200億分、660億の信用買いを残していた。


 

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