第13話:婚約辞退
リアナに見せられない事が起きるかもしれないので、最初は俺一人で両親を説得したのだが、腹立たしい事に婚約辞退を認めようとしなかった。
ちゃんと馬鹿でも分かるように丁寧に説明しやったのにだ。
腹が立ったので少しだけ心臓に魔力を流して、狭心症の状態にしてやった。
痛みで苦しみうずくまっていたが、助けてなどやらない。
死ぬ寸前まで放置してやったのだが、死の淵に立ったことがよほど怖かったのだろ、直ぐに認めてくれた。
「では王家との交渉は私とリアナで行います、よろしいですね」
一度死にかけたからだろう、両親は逆らうことなく認めてくれた。
最初から素直に認めていれば痛い思いも怖い思いもしなくてすんだのに。
もうこれで何度目だろう、馬鹿につける薬はないという言葉を思い出した。
この事をリアナには言うなと厳しく指導しておいた。
リアナには俺のこういう面は見せたくないからな。
俺は事前に王家との謁見予約を取っていたので、直ぐに王宮に出向いた。
「今日は何の用かな、ゴードン侯爵、ラゼル女侯爵」
国王は俺が貴族として公式に陳情しにきたのだと気がついていた。
欲は深いが、長年国王を務めてきただけあって洞察力はあるようだ。
もしかしたら、聖魔術の使い手が現れた事で、こちらの出方をうかがっていたのかもしれない。
そう考えれば、リアナを陥れたのは王家の総意なのかもしれない。
ゲームの俺も含めて、ラゼル公爵家は状況判断ができない愚か者だったのだろう。
「陛下はもうお気づきのようでございますが、聖魔術の使い手が現れた以上、王太子殿下とリアナの婚約を辞退すべきだと思い至りました、お認め頂けるでしょうか」
「ふむ、状況をよく理解した殊勝な言葉だ、褒めて遣わそう。
だかそれはラゼル公爵家の総意なのか、あのモーガンとミネバが認めたのか」
「最初は不服を口にしておりましたが、両親の間違いを正すのも嫡男の務めでございますから、少々厳しく諌言して認めさせました。
必要ならば、領地で静養させますから、安心されてください」
「そうか、それは苦労を掛けたな、これは褒美を取らさねばならないな。
とはいっても、ゴードン侯爵は富裕で金銭は必要ないであろうしな」
「では、リアナに新たな爵位を与えていただきたいです。
私とラゼル公爵家にはそれぞれ陞爵していただきたいです。
王家とラゼル公爵家が仲違いしたと勘違いする者が現れてもこまります。
その後で王家がルナネ嬢と婚約しても、悪くいう者は現れないでしょう」
「ふっ、気の付くことだなゴードン侯爵。
だがよくわかった、その願い全て求めよう」
「ラゼル公爵家の従属爵位」
一:ラゼル侯爵・ラゼル伯爵・ラゼル子爵
二:ラゼル侯爵・ラゼル子爵・ヘプバーン男爵・スコット男爵
三:ラゼル侯爵・ラゼル伯爵・ヘプバーン男爵・スコット男爵
四:ラゼル侯爵・ラゼル伯爵・ヘプバーン子爵・スコット男爵
「キャメロン所有の爵位」
一:ゴードン侯爵・ポルワース男爵・ロロ男爵
二:ゴードン侯爵・ポルワース子爵・ロロ男爵
三:ゴードン侯爵・ポルワース伯爵・ロロ男爵
「リアナ所有の爵位」
一:ロスリン伯爵
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