第2話:ステータス
「どれどれ、ステータスを見せてごらん、私がアドバイスしてやろう」
こんな時、家族の仲がいいのも善し悪しです。
普通の貴族家ならば秘密にできるステータスも、家族で比較検討するようです。
まあ、家族で一致団結して家を興すのなら、全員が知る必要があります。
その上で足らずを補い長所を伸ばし、新たな分家を興すのが最善です。
本家の力を削がないで子弟が独立するには、王家王国の定めた条件を満たして、新たな貴族家として叙爵されるのが一番の方法ですから。
「ステータス」
名前 :ヴェデリン・ドニエック
年齢 :5歳
職業 :貴族
レベル:11
体力 :194(無限)
魔力 :無限
攻撃力:175(無限)
防御力:174(無限)
俊敏性:170
属性 :土属性・木属性
スキル:土魔術・木魔術・土木複合魔術
「な、なんだこのステータスは?
無限とはどういう意味だ?!
一度も戦闘経験を積ませていないのに、レベルが11になってるのは何故だ?」
普段は沈着冷静な御爺様が、あまりの驚愕に声を発しています。
まあ、確かにそうなってもしかたがないですよね。
勉強した範囲の事しか分かりませんが、この世界には身体強化の魔術がないようですから、前世の経絡経穴に魔力を流して身体強化する方法も、硬気功という考え方もないのですから。
「ええと、色々と魔力を増やす方法を試していたら、こんなことになりました。
魔力が無限なのは、魔力を蓄える魔石の中が、空間魔術のようにたくさん魔力を入れられえると考えていたら、こうなったんです」
これは絶対に他人に知られてはいけない秘術だと思ったので、囁くような小さい声で、当主のベルトルト御爺様にだけ聞こえるように話した。
老練な貴族家当主であるベルトルト御爺様は、俺の意図を直ぐに察してくださって、両親やヘルミーナ御婆様にも聞かせないようにしてくれた。
この秘術がドニエック公爵家の強力な武器になると一瞬で理解されたのだろう。
「急いで屋敷に帰るぞ、ついてきなさい」
祖父が急に真剣になったのに驚いた家族だったが、貴族家の当主の決定は絶対だ。
しかも普段とても温厚な祖父が厳しい表情で命令したのだ。
この問題がどれほど重大なのか、家族一同が認識していた。
俺のステータスは祖父が最初に見たので、驚きの言動から飛び抜けている事は察しているだろうし、無限という言葉も耳にしているだろう。
戦闘経験もなしにレベルが11なっているとも耳にしたはずだ。
そんな事は、この世界の常識に反しているから、常識を打ち破る方法があるのなら、独占したいと考えるのが普通なのだ。
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