転生した異世界では囚人だったから脱獄計画を立てることにした

dy

第1話ブラック企業

はじめに、皆に挨拶をさせてくれ。

俺の名前は「渋谷優貴」年齢は28歳のO型。

この年でロクに恋愛もしてこなかった俺は当然彼女もいないし、若い頃は不良やって好きなことをして生きて「将来はでっかい男になる」と夢物語のあるあるの代表みたいな男みたいな人生を歩んできた。

しかし、現実は皆の予想通り現場仕事で最低ランクの生活だ。

だから俺があんな世界に行ってしまうなんて本当に想像してなかった。

だってそうだろ?こういう話は大体海外の人の名前で色々なメルヘンチックなスタートが多いのに、日本人で底辺の仕事と馬鹿にされてる仕事の俺が?

笑っちゃうね。

おっと、挨拶はこれくらいにして、俺のストーリーを始めるとしよう。



〇〇県〇〇市

この夏暑い中で俺の朝が始まった。

いつも通り朝6時に起きて働いていない頭を無理やり起こして会社にトコトコ向かう。


矢代康太

「よ!おはよ!相変わらず太々しい顔してんな!」

渋谷優貴

「おー、クッソねむい、だるいのダブルパンチだわ」

会社について第1発目に鬱陶しく挨拶してくるこの男は「やしろこうた」高身長で髪の毛は長めだがパーマを巻いているからか暑苦しく感じない程度で清潔感もある。目は細い一重だが、笑った時にクシャっとなる笑顔が憎めない男。

俺の不良時代からの付き合いで同じ会社に入った、腐れ縁の悪友ってやつかな。


康太

「今日は、どんな現場になるかなー?確か俺とお前二人だったっけ?」

優貴

「そうだよ。あのクソ親方、無理難題を押し付けてくるからほんと殴ってやめてやりてぇよ」

康太

「まぁな!でも今は仕方ねぇよ!我慢してそのうちぶん殴ってやろうぜ!はっはははは」

現場に行く準備をしながら、話していると後ろから重低音を効かせた低い声が割って入ってきた。

振り向くとそこに立っているのはスキンヘッドのくせにつぶらな瞳をして一見ギャップ萌えしそうな顔立ちの親方。

不機嫌そうにタバコを加えながら話をかけてくる。

親方

「おい、お前ら準備はできたのか?喋ってないでやることを早くやれ。時間は待ってくれねーぞ」

優貴、康太

「へーい」

親方

「あ、おい優貴、康太お前ら今日ダンプ1台ずつのって2台で現場向かえよ。帰り道具積むのに1台じゃ足りねぇから」


優貴

「え?ちょ、待ってください!俺免取り※になったから運転なんて無理っすよ!?」

※免許取り消し

康太

「そうっすよ、誰か他の運転できるやつの方がいいすよ!」

親方

「いねぇから言ってんだろ。それに免取りになったばっかなんだから運転はできんだろ。事故らなきゃいいんだから早く行け」

そう言って親方は自分の運転するダンプに乗って一足先に会社を出て行った。

優貴

「あのクソオヤジ。まじ殴ったろか。捕まったら会社のせいにしてやるから覚えとけよ。」

康太

「いや、流石にビビったねこれだからブラック企業は」

そう言いながら、康太は軽く笑って、この業況を楽しんでいる。

優貴

「仕方ねー。あのクソオヤジ出やがったし、俺らもいくか。本当ムカつくぜ」

俺と康太は各自のダンプに乗り、会社を出て今日の現場である東京の〇〇区に向かう為、高速道路に入った。


運転中はいつも暇なので会社から支給された携帯電話で暇さえあれば康太と電話している俺はいつものように携帯を開いて電話を康太としていた。


優貴

「まじで眠くてやべーわー」

康太

「お前いつもそれだなー笑」

優貴

「俺はいつだって寝れるからな。お前みたいに元気ばかにはかわんねーよ」

康太

「バカは最強なんだよ!てか、今日は珍しく混んでないなー。」

優貴

「あー確かにそうだな」

そう、俺は最近いつも運転していなかったけど、現場に着くのが混んでて遅れるのは知っていて、暇なときは寝たりもしていたからこれだけスムーズなのは珍しいと思っていた。


まー、現場に着くのが早まれば少しは休めるからいいや


その程度に思っていた。


しかし、しばらく走っていると異変は突然やってきた。


!!

幻覚か!?なんだ?スピードがどんどん上がっている気がする!!


そう思った俺はブレーキをかけてみたがブレーキが効かない!

むしろスピードは上がっている!

空いてるからかまだ事故は起きていないがこのままだと確実に事故は起きると確信した。

優貴

「やべーぞ康太!ブレーキが効かないどころかスピードがどんどん上がってる!!」

康太

「お前もか!?俺もなんだよ!これはまじでやいぞ!!」

俺は電話で後ろのダンプの康太に助けを求めたが、バックミラーでみた康太も同じ状況らしく、焦っているようだった。


まじか。これは死ぬぞ。。。。


そう思った時、俺の目には信じられないことが写った。

道路がまるで迷宮の入り口のように円を描いていた。

そして、時間がゆっくり流れるのを感じ、俺が橋から落ちる姿が客観的に見れたんだ。


ああ、これが死ぬってことなのか。

まじか。何も果たせなかったし、俺はなんだったんだろうな。


そう思いながらも、なぜか気持ちはどこか安心したようななんとも言えない気持ちのまま俺は死んだんだ。


希望のない人生がやっと終わってくれたとどこかでホッとしたのかもしれない。




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転生した異世界では囚人だったから脱獄計画を立てることにした dy @Weare1210

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