「さよならセブン・・・そして、ようこそ」

青谷因

第1話 さよならセブン(前編)

「ごめんなさい…それから…さよなら」

それきり、彼女とは途切れてしまった。


実にあっさりとした、別れだった。

事態は急なことではなかったが、もしかすると…という悪い予感は見事的中する。


彼女が特段、押しに弱かったというわけではない。

あいつのやり方が強引すぎるのは、話には聞いていたから、ここまで踏みとどまってくれた努力は、ある程度評価したいと思うのだ。


だが、恐れていたことが、ついに起こってしまう。


『…もう、耐えられないの…あなたが嫌いになったわけじゃないのだけれど…』


-あなたとこれからつくりあげていく未来が、急に不安になったの。


彼女がオレに見切りをつけることは、遅かれ早かれ致し方ないと思った。


オレは、所属する大手企業から事実上の“解雇通告”を受けたのだから。


彼女がオレの地位や企業名声だけに惹かれた訳ではないと思っている。

ただ、将来性に対する安心感はあっただろう。



但し、期限付きの保証契約だ。


それが、まもなく切れてしまう。


それだけのことなのだ。



これ以上、オレが彼女のそばにいることは、将来的に、彼女に多大なるリスクとなるだけだ。

彼女の方にもう少し、その辺りについての知識や技術力があれば、これらの問題はある程度回避はできるがそれも。


少しばかり、オレの存在理由を延ばすに過ぎないし何より、彼女自身の負担が、経年によりどんどん大きくなっていくのだ。


そうなると、オレは実質、彼女のお荷物でしかない。


お互いがお互いを、これからも尊重していくためには、今が丁度良い頃合いなのかもしれないと、言い聞かせて。



『…うん。今までありがとう。』


この別れを、受け入れた。


-さよなら…




































“Windws10へ ようこそ”




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