第52話 雷魔法
NYでのビッグイベントにお袋と穂南も放心状態だったが、帰りのバスの中では魂が戻って来ていて色々話しかけて来た。
「お兄ちゃん。凄すぎるよ!! 大統領とか、アラブの王様とか、もう全然意味わかんないし」
『あー大丈夫だ。俺もよく意味わかって無いし』
ランチの席に居たのは、国務長官と言う日本で言えば外務大臣の人と統合参謀本部議長と言う軍のトップと、もう一人は日本の大使の人だったんだって。
聖夜が伝えてくれたが「もういつ日本に戻られてもJDAによる不当な理由でのダンジョンの入場不許可などと言われる事はありません。出来るだけ早く帰国を決断して頂けると我々も助かりますが……」
『そうなんだ。別に聖夜達は好きなタイミングで日本に帰っても良いよ? 俺達は折角だからもう少しのんびりしたいし』
「そう言う訳にはいかない事くらい解ってるでしょ?」
『やっぱりそうなんだ。大変だね聖夜も』
マイケルとメアリーは俺が早速作ってあげた林檎マークの最新機種のスマホを使って色々鑑定したりステータスをいじったりしながら大はしゃぎをしている。
大きなサイズでカメラもレンズが三個もついてるから鮮明な写真撮れるし、良かったね!
運を300以上に上げるとほぼ失敗しないことも解ったから、今後の合成は結構安全かな?
でも運を500まで上げてチャレンジした金属はまだミスリルより先が出来ない。
きっと異次元ボックスのレベルがまだ不足してるんだろうね。
『麗奈、日本はどんな風になってるの』
「うーん。相川さんの会社がねD.Aの代々木のダンジョンシティの建物の横に、早速ダンジョンドロップ専門の買取と販売をするショップを出したらしいよ」
『随分早くない? まだ二日だろ? それに鑑定だってどうするの?』
「厚生労働省の鮎川さんって居たでしょ。あの人が国から出向して自衛隊から鑑定スキルを持った人を一人借りてるそうだよ?」
『それって松田曹長?』
「発表はされてないけど、そんなに数は居ないと思うから、可能性は高いよね」
松田曹長は、俺の同期で結構仲の良かった奴だから、活躍してくれると嬉しいが俺は知っている。
あいつはとんでもなくエロい奴だと言う事を。
咲や麗奈をあいつに近寄らせたくないぜ。
もちろん穂南もな。
JDAも今まで通り業務は続けているそうだが、評判は最悪だから果たして今後はどうなるんだろう?
でも……相川さんって国際的な基準取引額とかは、どうやって算出してるのかな? 俺達みたいに各国のエージェントと直接話すとかしないと、既に流通してるアイテムは良いとしても、ミスリルとかランク4以上の薬品とか値段が付けれないと思うけどな?
まさか……そういうエージェントと繋がりを持ってるのか?
まぁ俺達に敵対してくることは無いと思うし、相川さんの人脈がどうかなんて言うのは今、俺達が気にする必要もないか。
夜通し走り続けたリムジンバスは、日が昇る前の時間にはワシントンDCに到着し、俺達をホワイトハウスのゲストルームへ送り届けた。
NYでの夕食はアメリカらしいと言うか、人気のステーキハウスで俺も塩コショー超薄めのアンガスビーフをレアに焼いて細かくカットしたお肉を、腹いっぱいに食べた。
ゲストハウスで朝の九時まで仮眠をして、みんなで遅めの朝食を取っていると、メーガンが「メッセージが届いてるわよ」と言って俺にPCメールを印刷したような容姿を差し出した。
文章自体は俺には到底読めないような恐らくアラビア文字で、その下に親切に和訳された文章が書きこんであった。
『昨日の神の祝福のお陰で、我が娘「アーリヤ」は美しい姿を取り戻し無事に回復する事が出来ました。このご恩を神の名に誓って必ずお返しいたします。困った事があれば何でもご相談ください。些細な事ですがお礼を我が友カールに預けておきますので、都合のいい時にお受け取り下さい』 アシュラフ
無事に治ったようで何よりだね。
でも、大統領にお礼の品預けたと言われても、気軽に取りに行けないじゃん……
二枚目の紙には恐らく「アーリヤ」ちゃん本人であろう十二歳くらいの美しい小麦色の肌の女の子の写真と『シュクランジャズィーラン』と書かれた手書きの文字だけが印刷されていた。
当然アラビア語だから俺は読めなかったが、エミがアラビア語も読めるみたいで「とってもありがとう。って書いてありますよ」と教えてくれた。
公安警察の能力おそるべしだな。
朝食を食べると、穂南とお袋も連れてワシントンDCダンジョン六層へと向かった。
マイケル達は俺達より先に出て七層で狩をしている。
マイケル達は基本ずっとM4での戦闘を行っていたので、ステータス値がDEXに偏っていたので、STRとAGIに能力値を振り分けて、新しいスタイルでの狩りにチャレンジしたいと言ってたから、今日は一日籠りっぱなしだろうな。
俺達は六層で三時間程狩りを続けていたが、昼過ぎに倒したポイズンマウスのコアを飲み込んだ時に漸く、マウス系統のセカンドスキルを取得する事が出来た。
【雷魔法LV1】だった。
麗奈に聞いて見る。
『麗奈? 雷魔法はD.Aのデータベースにもう出てたかな?』
「雷は見かけないですね。覚えたんですか? 社長」
『うん』
「凄いですね。使ってみてください」
LV1では電撃だけだが、結構な威力があり、六層の敵ではウルフ以外は一撃で仕留める事が出来た。
レッドウルフに対しても、一撃では倒せないが一撃目で麻痺状態を高確率で付与するのでMPの多い俺にとっては一撃で倒せるのと変わらない。
それにしても通常ドロップでスキルオーブが出る確率って恐ろしく低いよな。
お袋たちも、それなりに強くなった。
麗奈や咲は、この階層では殆ど一撃で敵を倒せるが、武器がダンジョン鋼の聖夜とエミよりは、お袋と穂南の方が攻撃力が高い様な気がする。
ただし、身のこなしとかをいうと聖夜達は流石に警察庁のエリートだからレベルが違うけどね。
この日の狩りを終え夕食の時間に、ふと、お袋を見ると、なんだか鏡を見ながら頷いていた。
『どうしたお袋?』
「気が付かない? 私なんか凄い若返ってるような気がするんだけど」
そう言われて改めてお袋を見ると、毎日一緒に居るから気が付かなかったが、今、もし初対面でお袋に会って『いくつくらいに見える?』と問いかけられれば四十前かな? と思える程度の見た目になっていることに気付いた。
他の穂南や咲ちゃん達に変化が無いから気付かなかったけど、咲ちゃん達は元々が若いし、若返らせる必要が無いからなのかな?
『お袋。確かに若返って綺麗になってるよ』
「進。綺麗なのは前から変わんないでしょ?」とちょっと凄まれた……
女心難しいよな……
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