#6 とりあえずババ抜きでもしよーぜ!

 そういやトランプにも「キング」っているんだな!

 まーオレより弱そうだけど!ハハハ!


————


「じゃあ、簡単なゲームでもしようか、うーん、そうだな……」

 僕の学校で流行っていたのは大富豪だけど、たぶんルールを教えるの難しいだろうな。

 ポーカーも無理だろう。

 まあ、あれでいいか。


「ババ抜きでもしようか」

「ババ抜きってなに?」

「順番に相手の手札から一枚ずつ取っていって、同じ数字のカードが2枚になったら捨てられるんだけど、ジョーカーを最後に持っていたら負け。そういうゲームだよ」

「なるほどね!」

「完全に理解しました」

「おもしろそう……」

「えー!どういうこと!?」


 まあ、レナはなんだかんだ、やっているうちにわかるだろうな。


「じゃあ、シャッフルして手札を配るね」

 1枚ずつ手札を配る。


「あ!レナ、デネブの輝き変換魔法使っちゃだめだからね!」

「えー、なんで!」

「それじゃあゲームにならないですよ」


 いや、それ以上に……


「カードを元に戻さないといけないから、やめてくれ」

 ヘスペリデスの林檎世界よ、安息に戻れを唱えているコトミの方をチラッと見て、そう言った。


「もう少ししたら、わたしも参加するわね」

「あ、コトミ、オッケー!」


「まあ、練習で1回やってみようか」


 カードを配り終えて、手札を取った。


 レナがまた何か言い出した……


「えー!ヒカルもイオもエリーも、わたしより1枚多いんだけど!」

「いや、手札をなくすんだし、そういう問題じゃないから……とりあえず、いま2枚ある数字を捨てよう」

「レナ、ルールわかってないでしょ!」

「そりゃあ、そうでしょう」

「わかってるよ!」


 そんな会話をしながら、それぞれ最初の手札からカードを捨て終えた。


 現在の枚数。

 僕、5枚。

 レナ、6枚。

 イオ、3枚。

 エリー、3枚。

 アイ、4枚。


「あっ!これってアタシ、有利なのかな?」

「いや、逆だから……」

「一応、イオと私が有利ということになりますね」

「これはもう、あたしの優勝だね!」

「アイも……がんばる」


 じゃんけんをして、エリーからスタートになった。

「まあ、どのカードでもいいですね」

 そういってアイのカードを1枚引いた。揃った2枚のカードを捨てた。

「はい、残り2枚です」

「えー!」

「まだ始まったばかりだから」

「次……アイの番……」

 アイは僕のスペードの3を取ると、嬉しそうな顔をして、2枚捨てた。


 僕が引く番だ。

 レナの左から2番目のカードが、少し上がって明らかに目立っている……

 

 まあ、とってやるか。


「やったー!アタシ優勝!」

「いや、まだあなた、5枚もありますから」


 やっぱり、ジョーカーだった。



 エリーが1抜け、イオが2番、アイがその次に抜けた。


 いま、僕の手札が2枚。1枚はジョーカー。レナが1枚。


「うーん、どっちかなあ……うーん」

 レナが悩んでいる。

 結構負けず嫌いなのかな。


「じゃあ、こっち!あっ、やったー!」


 あー。結局、僕の負けか。


「アハハ、ヒカル、魔法だけじゃなくて、ゲームの才能もないんだね〜!」

 レナのことは絶対にいつか見返してやる。


 

 しかし、誰も魔法を使ってないのに、ババ抜きでこんなに盛り上がるのか。

 まあ、そういうところも、ちょっと微笑ましい感じでいいのかな。



 神殿を直したコトミがやってきた。いつもすまない。

「さて、わたしもやろうかしら。でも、このままだとちょっとつまらないわね」


 コトミは少しニヤッとして、こういった。


「じゃあ、こうしましょう。罰ゲーム。ビリの人が、1位の人の言うことを、なんでも聞くって、ね」



 熱い戦いが始まった。

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