#3 女神のあだ名をつけよう!

 オレの名前、「ゼウス」っていうんだけど、我ながらこれ呼びやすくていいよな!


 あ、このノリうざいって?

 大丈夫、そのうち慣れるから!


————


 3つ、問題がある。

 

 1つ目。僕は「絶対神」になったものの、ゼウスではない。

 そのことをはっきりさせておきたい。


 なぜそう思ったのかは、実のところよくわからない。

 しかしなんというか、彼女たちに対する誠実さとか、本心から仲良くなりたいという気持ちがあったのかもしれない。


 彼女たちが朝食の準備をしていたとき、打ち明けてみた。


「僕はゼウスではない」


 少しの静寂が流れた。


「アハハ!ほら〜いったじゃん!」

「いや、あたしも薄々気づいてたよ!」

「薄々も何も、ちょっと顔が似てるだけで、背丈せたけも口調も違うでしょう」


 えー、バレてたのか……



 改めて、事の顛末てんまつを話す。



「やはり、そうでしたか」

「え、エウローペー、気づいてたの!?」

「そりゃ、あの人なら、そのくらいやってもおかしくないでしょう」

「でも、ただの人間をひとり殺しちゃうのは、さすがにやりすぎじゃない?」

「まあ、この人がいいのなら、別にいいのでは」


 全員が一斉にこちらを見る。


 まあ、いいか。

 少し照れながら、OKサインを作る。


「やったー!これからよろしく!」

 金髪の少女、レーダーが抱きついてきた。

 小さい身体の割に、豊満な胸を押し付けてくる。

 思わずドキッとする。


 これが、魔性の女というヤツか……


「あなた、別世界に行った方のゼウスとラブラブじゃなかったんですか?」

「それはそれ、これはこれ!まあ別にいいじゃん!」

「あはは、レーダー、そういうとこあるよね!」


 そんな感じで、金髪少女、快活な少女、メガネの少女のかけあいは止まらなかった。

 

 しかし、あの黒髪の女性はとくに大きな反応を見せず、ふふっと微笑んでいるだけだった。

 そのミステリアスな様子は、確かにあのクラスメイトによく似ていた。



 ——さて、2つ目の問題だ。名前が覚えづらい。


「あだ名をつけよう」


「あだ名……?」

 誰もピンときていない様子だった。


「その人の名前とか、特徴をもじって、呼びやすいようにしたものだよ」


「へ〜、じゃあ、ヘーラーだったら『ヴィーナスの誕生』とか、そういうの?」

「いや、『天国への扉』とか、そういうのがいいと思う!」

「それ、どちらも呼びにくいですよ」


 この2人、天然だなあ……


「たとえば、僕の名前が『光が丘』っていうんだけど、覚えやすいように『ヒカル』って呼ばれていたんだ」

「あー、そういうことね」

「完全に理解しました」


「え、どういうこと!?」


 レーダーはわかっていないのか……


「じゃあ、たとえば、レーダーは金髪でノリが軽いから、まあもうちょっと軽い感じ……うーんそうだなあ……『レナ』とか」

「えー、『レナ』かー。実感わかないなあ」

「試しに誰かに呼んでもらえば?」

「そっかあ、じゃあ、ヘーラー、よろしくー」


 少しの笑みを浮かべた黒髪の少女は、ちょっと考えてこういった。

「『レナ、学校には行ってる?』」

「おっ!オッケーオッケー、アタシ、レナね!」


 どうやら気に入ったらしい。


「えー、じゃあ、あたしにも!」

「じゃあイーオー、君は……茶髪で元気な感じだから、うーん……まあイオでいっか」

「えーなにそれ!もうちょっと考えてよ!」

「アハハ!イオ、『学校行ってる?』」

「えー!」


「わたしも……あだ名ほしい……」

 幼い少女アイギーナがつぶやいた。


「そうだなあ……」

「アタシが決める!アイギーナは『アイ』ね!決まり!」


 レナ、案外物分かりがいいのか……?


「私は『エウローペー』のままでいいです」

「えー、ずるい!あ、でも、ちょっと難しいかも」


「えーと……」


 あ。

「エウローペー」か。

 難しい。

 少なくとも、「あの2文字」はいけない。

 だが、どうする?


「まー、『エリー』でいいんじゃん!エリー、『学校行ってる?』」

「私は行ってますよ」

「アハハ!」


 なんとか難を逃れた。



「じゃあ、最後、ヘーラーだねー!」

「ヘーラーは、そうだな……」


 少し悩んだ。


 あのクラスメイトに似ている彼女。


 ——ちょっとした背徳感があったが、でも、そうしたいと思ってしまった。


「『コトミ』とか、どうかな……」


 あのクラスメイトの名前だ。


「ふふっ、いいですよ」


 コトミは、そう言って笑った。


————


 まー、オレもあだ名作るかー。「アイツ」とか、オレの名前呼んでくれないし。


 あ、そうそう、ここ、オレのコメントするとこだけど、返事とかは基本「マジの作者」が対応するから、そのへんよろしくな!

 よかったら、コメントとかレビューしてね!それじゃ!

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