有限の時間
綿麻きぬ
生き急ぐ
自分が生きている無限と思っている時間は有限である。それは当たり前である。それを僕は分かっている。
だから僕は生き急いでいる。
生き急いで、首が回らなくなって、動けなくなった。動けなくなったことによって有限の時間は消費されていく。それに焦るが、その焦りはより自分を動けなくさせる。
がむしゃらに生きていたはずだった、前だけを見て。それがいけなかったのだろうか。分からない。
あれもこれもやりたい。欲張りなのだ。なにかを切り捨てることなどできずに、全てを欲する。そして今、その全てが手元にない
頑張っていた、頑張っていたはずだった。こんな結果になるのは僕の頑張りが足らなかったからなのか。そうだ。もっともっと頑張れたのだ。しかし、もっともっとと手を伸ばしたところでどうせ全ては手に入らない。
僕の生き方は間違っているのだろうか、有限の時間を無駄にしないように生き急ぐことは。ここでそれを否定してしまったら、僕はもうどうやって生きたらよいか分からない。
身動きの取れない自分はもう落ちたものすら拾えない。あぁ、人生ってこんなものか。
有限の時間 綿麻きぬ @wataasa_kinu
★で称える
この小説が面白かったら★をつけてください。おすすめレビューも書けます。
カクヨムを、もっと楽しもう
カクヨムにユーザー登録すると、この小説を他の読者へ★やレビューでおすすめできます。気になる小説や作者の更新チェックに便利なフォロー機能もお試しください。
新規ユーザー登録(無料)簡単に登録できます
この小説のタグ
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます